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プレハブ住宅60年、ロボと分業 ビジュアルで迫る現場

現場探究

(更新)
現場での作業を効率化するため、ガラス窓やドアは工場内で取り付ける(奈良市)=目良友樹撮影

外壁や鉄骨の柱が施工現場に到着してから、わずか2~3日で家の形ができあがる。工場で部材を生産し現場で組み立てる戸建ての「プレハブ住宅」は、大和ハウス工業が約60年前に原点となる商品を生み出した。日本初のプレハブ住宅専用工場は奈良市にあった。

甲子園球場4つ分にあたる約14万平方メートルの敷地に、白い大きな工場が4棟ある。ラインの周りに、鋼材や木材、ドアなどの建材が積み上がっていた。

奈良工場は甲子園球場4つ分の敷地面積がある

「プレハブ住宅と聞くと、大量生産された同じ形の家をイメージする人が多いでしょう」と工場長の尾崎学さん。ただ大和ハウスが手掛ける戸建ての7割は注文住宅で、プレハブでも顧客の希望に応じて仕様を変える。広さや間取りに合った部材を生産する必要があり、セメントや繊維質を混ぜてつくった外壁材だけで140種類にも及ぶ。

戸建て住宅の工場は全国に8つあり、奈良工場が住宅専門として初めて建てられた。1965年に稼働し、関西で年間2000棟分の住宅部材を供給する。現在はマンションや大型建物に使う部材も生産する。

家1棟に使う部材は約1万点に及び、奈良工場ではうち3割の部材をつくる。1日に戸建て住宅10棟分の生産を支えるのは、人とロボットの分業だ。

鉄骨を溶接するロボット(写真上)とスタッフ(同下)

住宅系の生産ラインでは約340人のスタッフと64台のロボットが働く。全自動装置や大型ロボットが標準加工をし、スタッフが細かい加工や補修を施す。

例えば、外壁パネルは2階建て住宅では通常54枚使う。1枚のパネルに玄関ドアや窓を取り付けて出荷するため、使う場所によってクギを打つ位置や断熱材の入れ方が異なる。

外壁パネルにガラス窓を取り付けるスタッフ

骨組みとなるフレームの接合やネジの穴開けはロボットなどが担い、スタッフはサッシの取り付けなど細かい部分を手掛ける。尾崎さんは「ミリ単位の精度で部材を作るためには、機械の適切な管理や扱う側の技術向上だけでなく、材料の特性を理解する必要がある」と説明する。

多様な細かな加工を支えるのは、部材に貼ったラベルだ。シートに書かれたアルファベットや数字が設計図となっており、窓や玄関の位置、断熱材の種類などをスタッフが確認する。

外壁パネルに断熱材を隙間なく詰め込む

鉄骨住宅を支える梁(はり)や2階の床の土台になる胴差しも、鋼材の溶接や塗装まで工場で施す。ロボットなどが鋼材を高速で切断・溶接して組み立てる。1棟あたり60本の梁や胴差しが必要で、ダクトや配線用の穴はやはり個別にスタッフが加工する。

大工や職人が現場で部材を加工するのに比べ、プレハブ工法は個人の技能に左右されず短い工期で家を組み立てられる。「工場なら十分な作業スペースを取り、安定した姿勢で丁寧に生産できる」(尾崎さん)

現場で組み立てる順番に積まれた外壁パネル

大和ハウスは組み立て式の子供部屋「ミゼットハウス」を応用し、1962年に台所や風呂など水回りも備えたプレハブ住宅を開発した。いまや年間約7000棟を建築する。

工場の働き手は高齢化が進む。部材の種類が多くコストとの兼ね合いがあるが、尾崎さんは「人にしかできない部分を大事にしながら、生産ラインの自動化を進めたい」と話す。

(丸山景子)

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