小6修学旅行の船沈没、下調べせず針路変更 運輸安全委
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2020年に香川県の瀬戸大橋近くで修学旅行の小学6年生ら62人が乗る旅客船が沈没した事故で、運輸安全委員会は19日、調査報告書を公表した。周辺を航行した経験がある船長が航路の下調べをせず、海面下の岩に気付かなかったのが原因と推定。一方、船長の指示で客室ドアを閉めたため救助まで船体が浮き続け、小型船舶の操縦免許を持つ教員が救命胴衣の着用を補助したことで、被害を負傷者4人にとどめたとしている。
報告書によると、旅客船「シュリンプ・オブ・アート」(19トン)の船長(当時)は、教員が橋脚の立つ岩黒島の東側の様子を児童に説明しているのを聞き、見学できるよう針路を変更。全地球測位システム(GPS)を利用して船の位置を示す機器に岩が小さく表示されたが、拡大して確認しなかった。
報告書は、運航する高松海上タクシーが定期的な安全教育をせず、危険箇所を記入した海図を用意していなかったなど、安全管理上の問題点も指摘した。
香川県坂出市立川津小6年の児童52人と教員らを乗せた旅客船は20年11月19日午後、岩黒島橋付近で岩に乗り上げ船底に穴が開いた。児童らは救命胴衣を着用し、海に飛び込んだり、船体の上にとどまったりして救助された。
事故後、多田陽介元船長(47)は業務上過失往来危険などの罪で罰金40万円の略式命令を受け、昨年11月の海難審判では理事官が業務停止2カ月を求め結審した。〔共同〕