維新の会・前川議員に罰金30万円 公選法違反で奈良地裁

2021年10月の衆院選で公示前に選挙協力を依頼する文書を不特定多数の有権者に送ったとして、公選法違反(事前運動、法定外文書頒布)の罪で在宅起訴された日本維新の会の衆院議員、前川清成被告(60)=比例近畿=に対し、奈良地裁の沢田正彦裁判長は18日、「民主主義の根幹を成す選挙制度の公正を害した」と求刑通り罰金30万円の判決を言い渡した。
公選法違反罪で罰金刑以上が確定すれば原則5年間、公民権停止となり失職する。判決は「公民権停止期間を短縮するべき情状は認められない」とした。被告は判決後の記者会見で控訴する方針を明らかにし、議員を辞職しない意向も示した。
選挙はがきへの宛名書きに協力するよう依頼する文書を、公示前に被告が母校・関西大の卒業生らに送付した行為の違法性が争われた。協力依頼の文書を送付した相手が支援者であれば公示前でも「立候補の準備行為」で合法とされる。
送付相手に関し被告は「支援を期待できる人たちで合法」と一貫して無罪を主張していた。
判決は、関西大の卒業生という共通点を除けば「被告と全く接点のない者」で、支援を期待できる人たちとは言い難いと指摘。宛名書きの協力依頼は名目に過ぎず、実質的には自身への投票を呼びかけるのと同様の効果を得ることが目的だったとし、事前運動などの故意があったと認めた。
判決などによると被告は衆院選公示(21年10月19日)前の同14日、「選挙区は『前川きよしげ』、比例区は『維新』とお書き下さい」と記載した選挙はがきなどが入った封書35通を卒業生らに発送した。宛名書きへの協力を依頼する文書が入っており「前川さんへぜひ一票をお願いします」との例文が記されていた。
被告は04年から参院議員を2期務め、旧民主党政権で副大臣を経験。16年の参院選で落選した。21年の衆院選で奈良1区から立候補し、比例代表で復活当選した。〔共同〕