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大阪市の車ナンバー、なぜ「なにわ」?

とことん調査隊

先日、大阪市内でタクシーに乗ったときのこと。前を走る自動車をぼんやりながめていると、ふと疑問がわいた。「なにわ」と「大阪」。「ナンバープレートの境界はどこだろう」。調べてみると、なにわは大阪市、大阪は豊中市や吹田市などが対象だ。なぜ大阪市が大阪ではないのだろう。なにわナンバーの由来を探った。

大阪府では、ナンバーの地名は4種類。大阪、堺、和泉、そして、なにわだ。大阪ナンバーは北は豊能郡、南は八尾市まで、和泉は堺市を除く府南部をカバーする。ちなみに兵庫県は神戸と姫路に分かれ、京都府は全域が京都だ。

「昔は大阪府内はすべて『大』ナンバーでした」。関西で自動車の検査・登録を担当する近畿運輸局を訪ねると、自動車技術安全部の大原由香梨さんが教えてくれた。なにわナンバーが生まれたのは1983年だという。

ナンバープレートはいわば自動車の登録証だ。日本で自動車の登録制度が確立したのは、道路運送車両法が成立した51年にさかのぼる。当時は地名として府県の頭文字を使った。大阪府なら「大」だ。64年に自動車の登録を管轄する陸運事務所の所在地を地名に使うことになり、「大阪」へと変わった。

高度成長期の当時は自家用車の普及期。登録台数の増加に伴い事務所の業務が増え、府内に支所を新設する動きが始まった。これが地名が分かれるようになったきっかけだ。65年に府南部を担当する和泉支所ができ、泉ナンバー(現在の和泉ナンバー)が導入された。

それから約20年間は大阪と泉で府内を二分する体制が続く。大阪市内も淀川区や北区など北部は大阪、大正区や住吉区など南部は泉だった。

なにわナンバーが生まれるきっかけとなったのは、大阪市内を管轄する南港自動車検査場の設置だ。78年の新設当初は登録済みの車の継続検査のみを担っていたが、83年から登録も手がけることに決まった。問題はナンバーの地名だ。すでに大阪は使われており、陸運事務所の担当者らは選定作業に乗り出した。

候補は大きく2つのグループに大別できる。まずは支所を置く沿岸部の地名から取った「西大阪」「住之江」「南港」の3つだ。ただ、西大阪は管轄地域が大阪市の東部も含むことから不採用となり、住之江とすると他の区から反感を買う可能性があるとして見送った。南港は地名としてまぎらわしく脱落した。

次に「摂津」「御堂」「なにわ」という旧国名や古い地名にあたる候補だ。御堂筋で知られる御堂だが、地名としてはなじみが薄い。摂津は旧国名で有力候補だったが「大阪市の隣に摂津市があり、不適当」(近畿運輸局)として採用に至らなかった。大阪歴史博物館の学芸員、谷口正樹さんは「摂津国は兵庫県の一部も含む。大阪市を指すにはふさわしくないとの判断もあったのでは」と指摘する。

こうして並み居る候補を押しのけ「なにわ」が選ばれた。「現在でも大阪を表す代表的な呼称で、全国的にも名前が通っていることが決め手だった」(近畿運輸局の大原さん)。「難波」「浪速」「浪花」といった漢字表記もあるが、見やすさを重視してひらがなとした。

近畿運輸局によると、なにわナンバーの車両数は3月末時点で二輪車などを含めて91万台。自家用車を中心に大阪ナンバーより約4割少ない。建機など大型特殊車両やトレーラーはなにわの方が多い。

近年はご当地ナンバーの登場で地名がさらに増えている。堺市は2006年に「堺」ナンバーを導入し、「和泉」から独立。「当時は市のブランド向上が課題で、堺ナンバーの自動車が全国を走る宣伝効果を狙った」(堺市)。ナンバープレートは地域の独自色を示す広告塔としても注目を集めている。(梅国典)

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