関西電力、新電力顧客情報の不正閲覧 3年間に15万件超
関西電力などは17日、送配電子会社が持つ新電力顧客情報を不正に閲覧していた問題で追加の調査結果を発表した。2022年12月までの約3年で、社員ら1606人が15万3095件の契約情報を閲覧していた。電力小売りと契約できない法人に送配電会社が電気を供給する「最終保障供給」の契約でも閲覧が発覚した。閲覧の原因となったシステム不備については、設計時に考慮が足りなかったためとした。
同日、経済産業省に原因や対策について報告した。約15万件の不正閲覧は低圧向けで、190社の電力小売りの顧客情報が不正に閲覧された。既に情報漏れが発覚している工場などで使う法人向けなどは「引き続き調査中」としており、今後も件数は増える見通し。関西電力は不正閲覧について「不適切な行為を防止する仕組みが不十分で、システムの信頼性を過信していた」(高木宏彰経営企画室長)と話した。
関西電力が実施した調査では、22年4月から12月までで閲覧した情報を顧客への営業活動に使った担当者は35人いた。4332件の契約情報を閲覧し、因果関係は明らかになっていないが47件が新電力から関西電力に契約を切り替えた。関電から関電送配電に異動した社員についても、3人が営業活動に活用していたことがわかった。
既に公表していた統計報告である「電力取引報」による情報漏洩についても、20年4月以降の件数が約275万件に達した。契約数のみの抽出で個々のデータ閲覧はなく、業務外利用はないとしている。
関西電力送配電が、本来閲覧できない関西電力顧客の小売り電気料金などを閲覧できる状況になっていた事案も発覚した。「事業者間の競争を阻害するものではないが、情報の目的外にあたる」(関西電力送配電)としている。