「海の森林」脱炭素に活用も(キャンパス探訪)
神戸大の海藻コレクション

神戸大学の六甲台キャンパス(神戸市)にコンブやアオノリ、テングサなど世界最大規模の海藻のコレクションがあることはあまり知られていない。その数は約400種類にもなり、3000近い系統の培養株が保存されている。多くは外部に提供され、研究や養殖、化粧品・健康食品などの開発に役立っている。
海藻は巨大な水槽で飼育しているわけではない。広さ70平方メートルほどの研究室にずらりと並ぶ培養庫で、指先ほどの培養株を海水とともに小さなプラスチック容器に入れて保管している。担当する川井浩史特命教授は「海藻が生育していた海域の水温に保ち、光を照射しながら管理している」と説明する。
瀬戸内海にも近い神戸大では内海域の環境保全や生態系に関する研究が盛んだった。海の生態系の土台である海藻の研究も30年ほど前から本格化。国の生物資源の収集・保存プロジェクトで大型藻類を任された。
近年注目されているのが地球温暖化対策への活用だ。海藻は二酸化炭素(CO2)を吸収・固定するいわば「海の森林」。洋上風力発電機の間にロープを渡して海藻を養殖すれば、発電機1基(1ヘクタール)あたり年5~10トンのCO2を固定できると川井氏は推定する。
ほかにも、家畜に海藻を混ぜた餌を与えることでげっぷに含まれる温暖化ガスの一つ、メタンガスを減らせるという海外の研究もある。海藻コレクションは宝の山として大きな注目を集めるかもしれない。(堀直樹)
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