路線バスでパンや青果物を運搬 神姫バスが貨客混載拡大

兵庫県南部が地盤の神姫バスが、既存の路線バスで乗客と一緒にモノを運ぶ「貨客混載」を拡大する。県中央部と神戸・三宮を結ぶ中距離路線バスを使い、小野市で営業する食パン店の商品を三宮まで運ぶサービスを19日に始めた。2021年度から青果物などの貨客混載を本格的に手掛けており、乗客減に苦しむ路線で新たな収益源にする。
19日朝、西脇市の神姫バス営業所で搬送容器に詰めた食パン6ケースをバスの最前列席に固定し、一般の乗客と一緒に神戸市まで運んだ。パンは神戸三宮バスターミナルの待合所で、グループのバスガイドが販売する。今後は月1~2回程度の頻度で輸送する予定で、1ケースあたり700円の輸送費を得る。
神姫バスは5月から、兵庫六甲農業協同組合(神戸市)などと連携し、同県三田市内で運行する路線バスで青果物を生産地から直売所近くまで輸送するサービスを本格的に始めた。週2便の頻度で運行し、6月までに計101個のコンテナを輸送し、約2万円の輸送収入を得た。5月末からは西脇市の店舗のフルーツサンドを月1~2度、三宮まで運んでいる。
いずれの路線も人口減少や高齢化で利用客が減少し、近年の新型コロナウイルス禍で乗客減に拍車がかかっている。そこで追加の費用負担や手続きもほとんどなく運賃収入の上積みが見込める貨客混載の仕組みに着目した。荷物を委託する側にも輸送の負担軽減や都市部への販路開拓などのメリットがあるという。
神姫バスは21年3月期決算で路線バスなど自動車運送部門が25億円の営業赤字となった。同社は「搭載可能な品物や移動方法などハードルは決して低くないが、今後も品目拡大に取り組みたい」としている。