中村邦夫氏お別れの会 「決断と行動の経営者」しのぶ

松下電器産業(現パナソニックホールディングス)で2000年から06年まで社長を務め、2022年11月に亡くなった中村邦夫氏の「お別れの会」が17日、大阪市内のホテルで開かれた。キヤノンの御手洗冨士夫会長兼社長ら政財界などで親交のあった約1000人が参列し、故人をしのんだ。
中村氏は徹底した合理主義者として知られ、事業構造を大胆に組み替える「破壊」と、収益の柱となる戦略商品開発の「創造」に取り組み、IT(情報技術)バブル崩壊後の松下電器の業績をV字回復に導いた。社長退任後には経団連副会長も務めた。キヤノンの御手洗会長兼社長は時折涙を浮かべながら、「信念を持った経営をされていた。あれほど大胆な決断をし、行動できる人はなかなかいない。困難な時代に思い切った改革をした『中興の祖』といえる人だった」と功績をたたえた。
関西経済界からも惜しむ声が相次いだ。ダイキン工業の井上礼之会長は「素朴な人物であり、大企業のトップというよりも一人の人間というイメージが強かった。哲学を持っており、財界活動でも存在感を示していた」と振り返る。阪急阪神ホールディングスの角和夫会長は「言っていることが誠実であり、『正直が一番』ということを体現していた。経営者として参考になる偉大な人だった」と評した。
パナソニックHDの津賀一宏会長は中村氏について「怖い人ではあったが、強いリーダーシップで方向付けをしてくれた」と振り返った。「つらいこともあるかもしれないが、それでも断固として改革し、原点に戻って新しい時代に対応していくという覚悟を、強くみなに知らしめてくれた」と語った。
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