パナソニックエナジー、EV電池に再利用材料 24年から

パナソニックホールディングス(HD)傘下のパナソニックエナジーは15日、米国でリサイクル材を使った車載電池を2024年から量産すると発表した。リサイクル技術を持つ米国のスタートアップと組み、電池の銅箔などを再利用する。米国が材料を含めて電気自動車(EV)のサプライチェーン(供給網)を友好国内で確立することを目指している動きに対応する。
米国時間の10日にスタートアップの米レッドウッド・マテリアルズとリサイクル材の購入契約を結んだ。金額や契約量は明らかにしていない。両社は19年からリサイクル材を使った電池の試作などで協力してきた。
銅箔は24年から、正極材は25年からリサイクル材をEV電池に使用する。米テスラと共同運営するネバダ州の工場でリサイクル材を使うほか、24年度に稼働予定のカンザス州の新工場にも供給を検討する。銅箔では全量を再生材に切り替え、正極材ではコバルトは全量、ニッケルは30%、リチウムは30%を再生材にすることを目指す。
パナソニックエナジーは「コストの面でメリットは小さい」としているが、製造時の二酸化炭素(CO2)排出を抑えられる。30年度に電池の製造で排出するCO2の量を21年度の半分にする計画だ。
コバルトなどEV電池材料はアフリカや南米に偏在し、加工の工程では中国依存度が高い。地政学リスクが高まって材料調達が滞れば、EV生産の足かせになる可能性もある。米国は補助金などを通じて関連産業を自国に誘致する考えを示している。