大阪で不自由展、16日から開催へ 高裁も会場利用認める

「表現の不自由展かんさい」を巡り、大阪高裁(本多久美子裁判長)は15日、大阪地裁に続き、会場利用を認める決定を出した。会期は16~18日。会場の大阪府立労働センター「エル・おおさか」(大阪市中央区)側は特別抗告する方針。最高裁が判断するまで決定が維持される。
本多裁判長は9日の地裁決定と同様に、不自由展を「憲法(21条)上の表現の自由の一環として保障されるべき」とした上で、展示の主催者側を救済する「緊急の必要性が認められる」と判断。センター側の取り消し処分の執行を停止し、利用を認めた。
抗議活動については新たに「妨害を理由に公共施設の利用を拒むことは(表現の自由を保障する)憲法に反する」と指摘。「街宣活動が激化したとしても警察が対応可能で、重大な危険が予測されるとまでは言えない」とした。
センター側は12日に利用許可取り消しを求めて高裁に即時抗告し「(取り消しから開催まで)3週間あれば代替施設を探すことは可能だった」と反論していた。本多裁判長は「3週間で代替施設の確保を求めるのは事実上不可能で、確保し得ることを示す資料もセンター側から提出されていない」と退けた。
主催者の実行委員会側の代理人弁護士は大阪市内で会見を開き「表現の自由を認めてもらえた意義は大きい」と評価した。
会場が明らかになった6月中旬からセンター側に抗議が相次ぎ「利用者の安全が確保できない」として6月25日付で利用許可を取り消していた。
国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」で抗議が殺到し、一時中断された企画展「表現の不自由展・その後」の一部作品を含む20点以上を展示する。センターには中止を求める脅迫文や不審物も届き、府警は周辺の警備を強化した。〔共同〕
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