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聴覚障害者に観劇サポート 字幕端末貸し出し広がる

耳が不自由な人にも演劇を楽しんでもらおうと、せりふなどの字幕を表示したタブレット端末を貸し出すといった鑑賞サポートを複数の劇場が提供している。以前は開演前の限られた時間に台本を見せるなどの対応にとどまっていた。ただ、タブレットでも著作権の関係で一部の歌詞が表示されないという課題が残っている。

「タブレットのおかげで内容が理解でき、他のお客さんたちと同じタイミングで笑ったり感動したりできた」。2月上旬、東京宝塚劇場で花組の公演を楽しんだ都内在住の山崎有紀子さんはうれしそうに話す。

山崎さんは難聴だが、約10年来の演劇ファン。鑑賞サポートを利用できるようになって以前より観劇の回数が増えた。

宝塚歌劇を運営する阪急電鉄は、聴覚障害のある客からの要望を受け、台本を表示したタブレットの貸し出しを昨年6月から兵庫県宝塚市の大劇場や東京劇場などで開始。画面で台本のページをめくりながら舞台を見ることで、音が聞こえなくても理解できる形だ。

利用は無料だが予約が必要。画面は光を抑え、周りの客が気にならないよう工夫してある。50回の公演の場合、20~30件ほど利用があるという。

都内で帝国劇場などを運営する東宝も、今年1月から同様にタブレット貸し出しを始めた。それまでは開演前に台本を貸し出していたが、限られた時間では内容を覚えられない上、事前に劇の結末が分かってしまうという問題があった。

このほか、劇団四季は2018年から訪日外国人や聴覚障害者向けに字幕表示眼鏡を貸し出している(現在は新型コロナウイルス対策で休止中)。

公共の劇場では、新国立劇場(東京)が18年から一部の公演で日にちを決めて視聴覚障害者向けのサポート付き公演を実施している。

ただ、こうした取り組みはまだ一部に限られ、台本の貸し出しを頼んでも断られたり、大都市以外では対応していなかったりすることも多い。

タブレットでの台本表示では、劇中で使用される歌の歌詞が表示できない場合も。海外の歌などで著作権者の許諾が得られないためだが、「全ての内容を楽しめるようにしてほしい」との声が上がっている。

鑑賞サポート付きの演劇情報を発信しているNPO法人「シアター・アクセシビリティ・ネットワーク」(東京)は、字幕や手話通訳、視覚障害者向けの音声ガイド付き演劇の制作も手掛ける。

聴覚障害の当事者である廣川麻子理事長は「タブレット貸し出しは好きな日に観劇できる利点がある一方、ページをめくるのが追い付かないと、どの場面をやっているのか分からなくなる。舞台上部での字幕表示や手話通訳付きの上演日も設けてほしい。公的な財政支援も充実させる必要がある」と話している。〔共同〕

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