関西3空港発着枠、30年めど羽田並み50万回に 地元合意

関西国際、大阪国際(伊丹)、神戸の3空港の役割を議論する官民組織「関西3空港懇談会」は18日、大阪市内で会合を開き、3空港の発着回数の上限を2030年ごろをめどに計50万回とする方針を決めた。関空の上限引き上げと神戸空港の国際化で合意した。現在の3割増の規模で、国内最大の羽田空港(48.6万回)並みとなる。今後のインバウンド(訪日外国人)の本格回復に対応する。
3空港の発着枠の拡大は2段階で進める。まず関空の1時間あたりの発着回数の上限を、25年の国際博覧会(大阪・関西万博)までに約60回と現在の45回から引き上げる。年間で3割増の30万回とし、関空単独で成田空港(30万回)並みになる。
その後、神戸空港に30年ごろをめどに国際線の定期便を就航させる。発着回数は1日最大40回を想定する。同空港は06年の開港から一貫して国内線の運用に限定しており、現在の発着回数は約3万回。国際線の就航と合わせて国内線の発着枠も拡大し、30年ごろをめどに計約6万回と倍増する見込みだ。万博が開かれる25年に国際チャーター便の運用を認めることも合意した。

3空港はオリックスなどが出資する関西エアポートが一体運営し、現在の発着回数の上限は計約40万回。関空と神戸空港の機能拡張により、30年ごろには同50万回と羽田空港並みとなる。3空港懇の合意を受け、国土交通省は今後、発着上限の引き上げや国際化に向けた具体的な飛行ルートの検討を始める。騒音の検証作業も必要になる。
地元自治体や事業者などには「空の玄関口」の受け皿を広げ、今後伸びが見込まれるインバウンド需要を取り込みたいとの狙いがある。関西エアポートなどの試算では、25年度の関空の総旅客数は約3700万人と新型コロナウイルス禍前の18年度から3割増加。30年度には最大約5000万人と1.7倍に膨らむ。
同懇談会の松本正義座長(関西経済連合会会長)は18日の会合で「万博後の関西経済の成長や、首都圏など他地域の空港との競争力確保という点からも、関西3空港のさらなる機能強化が必要だ」と語った。
課題もある。神戸空港は滑走路の長さが2500㍍と中規模なため、国際線はアジア路線が中心となる見込みだ。関空も現在は中国や韓国、台湾、シンガポールなどの定期便が多く、両空港のすみ分けをどう図るか調整が必要だ。関西エアポートの山谷佳之社長は同日の記者会見で「具体的な検討は今後の話」と述べるにとどめた。
大阪府の吉村洋文知事は「あくまで関空ファーストだ」と強調。神戸空港の国際化は、関空の発着回数が上限に達した場合を想定した補完的な対応との認識を示す。一方、神戸市の久元喜造市長は「国際化は長年の悲願だった。道筋がつき率直に喜んでいる」と話し、関係自治体間の微妙な温度差も浮き彫りになっている。
※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。
この投稿は現在非表示に設定されています
(更新)

2025年に開催される大阪・関西万博のニュースや特集をまとめました。参加国やパビリオン、地元の盛り上がりなど、最新情報を読めます。