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大阪府の出口戦略、指標に賛否「変異型は不確定要素」

専門家を招いた大阪府の会議で発言する吉村知事(15日午後、大阪府庁)

大阪府は15日、新型コロナウイルスのワクチン接種の進捗に合わせ、飲食店への営業時間短縮要請などを段階的に緩和するロードマップ(行程表)について、専門家から意見を聴いた。行程表は「出口戦略」にあたり、全員が策定に賛同したが、接種の進捗を指標とすることには「変異ウイルスの不確定要素がある」など難しいとの指摘も出た。

府がこの日の会議で示した原案では「医療提供体制のリスク」と「ワクチン接種の進捗」の2つの指標を組み合わせた。医療提供体制では、重症病床使用率と全体の病床使用率がそれぞれ20%未満になれば「リスクが低い」と判断。この状態で2回目のワクチン接種を終えた人数が約550万~650万人(府民の約60~70%)となった場合には、飲食店の通常営業を容認する内容だ。

6月30日に公表した当初の原案では、医療提供体制の指標として「重症者数」を採用していたが、「軽症・中等症の患者数なども考慮に入れるべきだ」という庁内の意見を踏まえて修正した。

府が会議に招いて意見を聴いたのは、感染症や経済学の専門家5人だ。大阪大の大竹文雄特任教授(行動経済学)は出口戦略について「人々は将来の見通しの下で現在の行動を決める。見通しを明らかにすることは非常に大事だ」と強調。5人全員が策定に理解を示した。

指標のワクチン接種の進捗を巡っては、厳しい意見が相次いだ。

大阪健康安全基盤研究所の朝野和典理事長は「ワクチン接種のみで社会が変わるという誤解を生み、進めるべき対策が軽視される可能性がある」と指摘。大阪大大学院の忽那賢志教授(感染制御学)も「『変異株』という不確定要素がある」として現時点で接種率を指標にするのは難しいとの認識を示した。

大竹氏は「ワクチン未接種者のプレッシャーが強くなる。社会の分断を招きかねない」との懸念を示した。府内全体の接種率にこだわるのではなく、ワクチンを打った人から優先的に飲食や旅行をできるようにする案を提言した。

府は出口戦略を示すことで、府民や事業者にワクチン接種や感染対策への協力を促す狙いがある。専門家の意見を踏まえ、月内にも行程表を取りまとめる方針だが、議論が難航する恐れもある。

府内では新規感染者数が増加傾向にあり、インド型(デルタ型)の変異ウイルスも増えつつある。府庁内には「『出口』をいま議論するのは適切ではない」といった慎重論も根強い。国からのワクチン供給量は大きく減少しており、行程表の核となる「ワクチン接種率」の先行きも不透明感が漂っている。

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