アベノマスクの単価開示へ 国控訴せず敗訴確定
政府が新型コロナウイルス対策として全世帯に配布した布マスク「アベノマスク」の発注枚数や単価を記した行政文書に関し、情報公開請求した神戸学院大の上脇博之教授に開示するよう国に命じた大阪地裁判決が確定したことが15日、厚生労働省への取材で分かった。敗訴した国が期限までに控訴しなかった。

厚労省は関係省庁と協議し、期限の14日までに控訴しない判断をした。国は、黒塗りにして不開示とした厚労相と文部科学相の決定を取り消し、単価や発注枚数が記載された行政文書を上脇氏に開示する。
上脇氏は「国は国会にも国民にも公表し、アベノマスクの配布政策を検証すべきだ」とのコメントを出した。
今年2月の大阪地裁判決は、税金の使途にかかる行政の説明責任の観点から開示の要請が高いと指摘。「公にすることで国の財産上の利益や業者の競争上の地位を不当に害する恐れはない」と結論付けた。
アベノマスクは2020年4月、安倍晋三元首相が全世帯への配布を宣言。学校などにも配られた。会計検査院の20年度決算検査報告によると、いずれも随意契約で厚労省が約2億8700万枚、文科省が約3千万枚を調達し、配布事業に約540億円が支払われたとされる。〔共同〕