近鉄GHD、近鉄エクスプレスをTOBで子会社化へ

近鉄グループホールディングス(GHD)は13日、持ち分法適用会社の近鉄エクスプレスに対してTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表した。最大で1680億円を投じて完全子会社化を目指す。新型コロナウイルス禍や人口減で主力の鉄道事業などの成長が難しいなか、法人向けの物流事業を強化する。
近鉄エクスも同日、TOBに応じると発表した。買い付け価格は1株当たり4175円。13日の終値(2896円)に対して約4割のプレミアムを上乗せする。買い付け期間は16日から7月5日まで。
近鉄GHDは現在、近鉄エクス株を子会社所有分も合わせて47.09%持つ。全株を取得できない場合はスクイーズアウト(強制買い取り)を実施する考え。買収資金については金融機関からの借り入れを想定している。TOB成立後、近鉄エクスは上場廃止になる。
近鉄GHDの安本幸泰副社長はTOBの狙いについて「人の動きに左右されない事業の育成・強化を図る」と述べた。同社の収益は鉄道やレジャーなど消費者向けが主力。国際物流に強い近鉄エクスの子会社化で法人向けの比率を高める。また、近鉄エクスは海外に多くの拠点を持つことから、買収を機に不動産事業などで海外進出を進める考え。