JR西日本社長「状況共有し協議急ぐ」 地方路線収支公表で

JR西日本の長谷川一明社長は13日、利用者の特に少ない地方路線の営業赤字が年間約248億円にのぼると初公表したことについて「状況を共有し、今後のあり方について議論を深めたい」と話した。新型コロナウイルス禍で鉄道利用の回復が遅れている。「路線を維持するのは経営的にも厳しい」として、沿線自治体と協議を急ぐ考えを示した。
同社が11日に地方路線の収支を公表後、長谷川社長が記者会見するのは初めて。今回の公表対象は路線1キロメートル当たりの1日平均利用者数(輸送密度)が2000人未満の17路線30区間。2017~19年度の年間平均の営業赤字が約248億円だったことについては「(財務的にも)巨額の赤字だ」(長谷川社長)とした。
長谷川社長は「(収支率などの)数字をもって(路線の存廃を)一律に判断することはない」としたが、JR西単独での路線維持は難しくなっている。収支公表により地域の公共交通における鉄道の役割について協議を加速したい考え。将来的には路線などの保有と運営を分ける「上下分離方式」やバスなどへの転換の議論も視野に入れる。
JR西は今後も毎年、利用者の少ない路線の一部区間について収支を公表する方針を示した。ただ、自治体との議論のスケジュールや議論対象とする具体的な路線や区間については今後協議するとした。収支公表へ地元の反発は大きく、同社が期待するように存廃を含めた路線見直し議論が進むのかは不透明だ。