大阪のワイン用ブドウ品種登録 果皮は青黒、酸味特長

大阪府羽曳野市のワイン醸造所が長年育ててきた醸造用ブドウが「大阪RN-1」として農林水産省に品種登録された。皮の色が青黒く、ワイン造りに欠かせない酸味が完熟しても落ちないのが特長。樹木を管理する大阪府立環境農林水産総合研究所(羽曳野市)は府独自の新品種と位置づけ、地元産ワインの活性化につなげたい考えだ。
仲村わいん工房(同)が独自に交配を重ねたブドウで、環農水研は2017年から遺伝子を解析するとともに、枝を譲り受けて栽培してきた。何らかの品種の突然変異なのか、異なる品種の交配の結果なのか分からなかったが、既存品種とは明らかに異なっており、新品種として国からお墨付きを得た格好だ。
現在は仲村わいん工房が赤ワインのブレンドなどに使用している。代表の仲村現二さんによれば、代表的なワイン用品種であるメルローなどに対し2~3%加えるだけで味わいや色の深みが増す。果肉は暗い赤色で、暑い地域で育てても薄くなりにくい。ポリフェノールの一種であるアントシアニンの含有量も多い。
環農水研は3~5年のうちに、まず府内のワイン醸造所や農家を対象に苗木の提供を始めたい考え。府はかつてブドウの作付面積が全国トップだったが、戦後に入ると宅地化や生産者の高齢化で大幅に減少した。ワイン用のブドウは生食用よりも栽培の手間がかからないため、農業の振興にもつながるとみている。