「マイキャンプ山」いくら? 甲子園2面分で100万円も
おカネ知って納得

個人で山を買う人が増えている。新型コロナウイルスの感染拡大が収まらないなか、アウトドア人気で自分だけのキャンプ場を持とうという関心が高まっているという。個人で簡単に買えるのか、山の価格はどう決まっているのだろう。
山は売買が少なく、不動産会社での取り扱いは少ない。個人で買うには専門サイトを訪れたり、各地の森林組合から山の所有者を紹介してもらったりする。
個人を中心に山の売買を手掛ける山いちば(京都市)では、この1年間で販売件数が4割増えた。比賀真吾社長は「大阪府の北部や兵庫県三田市など住宅地が近い山はアウトドア目的などで人気が高い」と話す。
京都府中部、南丹市の2万5000平方メートルの山で100万円ほど。阪神甲子園球場のグラウンド2面分ほどの広さだ。40万円での販売例もあるという。
価格を決める要素は幅広い。森林組合では仲介する際、「土地の価格に加えて、トラックが入れる道路が整備されているかや平地の面積などが議論の材料となることが多いようだ」(全国森林組合連合会)という。
平地の面積が多いと開拓してキャンプ場などにでき、林業でも作業がしやすく価格が上がる。組合の仲介では山の不正利用を防ぐため、売り手と買い手の双方が現地を訪れて購入目的などを話し合う。
山いちばでは、土地価格と育っている木の価格を足す。各市町村が決める固定資産税評価額から坪単価を計算し、平地では単価を高くし、急勾配の傾斜地では安く調整する。敷地内に川が流れていると、レジャー向けなどで人気が出るため100万円ほど高くなることもあるという。

山に育つ木は、公開されている「山元立木価格」という伐採前の価格をメドとし、手入れ状況や樹齢を考慮して見直す。樹齢40年のスギなら、1立方メートル当たり1000~1500円、樹齢50年のヒノキなら1500~2500円になるという。
人の手が加わっていない天然林では、加工が難しくなるため半額以下になる。もちろん、山を購入したら管理責任も生じる。
近年は世界的な木材不足である「ウッドショック」の影響も出ている。「建設会社などが木材を確保するために山を探す動きがあり、購入単価も高くなっている」(比賀社長)。関西では「吉野杉」などブランド力のある木が生えている山が人気だという。山の価格にも響きそうだ。
(泉洸希)
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