任天堂株をサウジ政府系ファンドが買い増し 6%保有に
サウジアラビアの政府系ファンド、パブリック・インベストメント・ファンド(PIF)が任天堂株を買い増したことが12日付で関東財務局に提出された変更報告書で分かった。2022年5月に任天堂株を5.01%取得していたが、今回の買い増しで保有比率は6.07%になった。PIFは保有目的を「純投資」としている。
ムハンマド皇太子などサウジアラビアの王族は日本のゲームやアニメ好きとしてしられる。サウジアラビアは原油依存からの脱却を狙い、娯楽産業の育成にも力を入れている。東洋証券の安田秀樹シニアアナリストは「サウジアラビアではゲームやアニメなどサブカルチャー市場が拡大しつつある。(株式の取得は)コンテンツ産業の振興について、知見を学ぶ狙いもあるのではないか」と指摘する。PIFはこれまでカプコンなど日本のゲーム産業の株式を取得している。
今回明らかになった任天堂株の追加取得については、「株価が下がっており、買い増すタイミングと見たのではないか」と安田シニアアナリストは分析する。
任天堂は主力ゲーム機「ニンテンドースイッチ」が新型コロナウイルス禍の巣ごもり需要を取り込むなど、長期にわたって消費者から支持されている。マリオなど自社キャラクターを活用したソフト開発も強みだ。ニンテンドースイッチでは今後も有力な自社ソフトの発売が控えており、有望な投資先と判断したとみられる。