兵庫県の企業誘致、水素産業やMICEに重点 条例改正案
兵庫県は13日、「産業立地条例」の改正案を発表した。企業誘致の戦略を刷新、成長分野と位置づける水素産業への設備補助率を大幅に引き上げるほか、これまで製造業に限定してきた補助対象に国際会議など「MICE(マイス)」機能を備えるような大型ホテルを加える。重厚長大型産業からの転換が遅れる中、新分野を重点的に支援する姿勢を鮮明に打ち出し伸び悩む県経済の成長を後押しする。
2月議会での議決を経て、4月の申請分から新しい補助率適用を目指す。

今回の改正では県内全域を対象に半導体産業やドローンなど航空産業をはじめとする成長産業への補助率を7%に、成長が著しいと想定する水素関連産業への補助率を10%にする。現行の補助率は地域などで違い、例えば姫路市に水素関連の工場をつくる場合、3%から10%になる
兵庫県は播磨臨海地域で二酸化炭素(CO2)排出量の削減に向けた計画策定を進めており、大型タンカーが接岸可能な姫路港は水素の受け入れ拠点となることができる。神戸市では液化水素運搬船「すいそふろんてぃあ」を使った水素活用実験が進んでいる。今回の条例改正でさらなる集積を目指す。

これまでの条例は但馬地域、淡路地域などへ立地する場合に高い補助率を適用し、人口減少や経済の低迷が著しい地方部への企業誘致を促進する内容だった。改正によってエリア間の補助率の差を縮め、神戸や姫路、尼崎といった都市部に投資を集める。
2025年国際博覧会(大阪・関西万博)や2030年の神戸空港国際化で海外富裕層の来客増を見込み、国際会議や展示会を開けるような大型ホテルも補助対象に加える。
県の産業立地条例は、主に製造事業者に対して設備投資への補助や法人事業税の軽減などで県内の拠点立地を促す制度。02年度から20年度までに182社に対して支援をし、総額は249億円に達する。
斎藤元彦知事は「ものづくりやエネルギーの産業が集積する阪神間や姫路などベイエリアへの投資を重点化することが兵庫全体にとって大事」と話した。