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Jクラブ、福島で農業に挑む 選手が収穫・販売アシスト

ブドウの間引き作業をする福島ユナイテッドFCの池高暢希選手(手前 5月28日、福島市)=共同

サッカーの練習を終えると、農作業に汗を流すJリーガーが福島市にいる。強化部や営業部と並び「農業部」を持つJ3の福島ユナイテッドFC。「サッカー選手が農業」という珍しさを売りに、東京電力福島第1原発事故からの復興の一助とすべく、福島県産品のPRに一役買っている。

5月28日午後、福島市郊外のブドウ畑には長靴姿の3選手の姿があった。この日の作業は房の余分な部分の間引き。今年、J1浦和レッズから期限付きで移籍してきたミッドフィルダー、池高暢希選手(21)は、中腰での作業に「つらいっすね。でも楽しみにしてくれる人がいるのはやりがいです」と笑顔を見せた。

始まりは2014年のリンゴ栽培だ。今では県内各地の農園と協力し6品目まで拡大。最盛期は週2回、午前の練習後に全28選手が持ち回りで農作業に当たる。昨年はコメ400キロ、ブドウ100房などを収穫した。

本業ではない農業に挑むのは「風評被害で苦しむ地元のため、何かできないか」との思いから。農業部の担当職員、阿部拓弥さん(31)は「クラブが持つ発信力を使えば、よりPRできるのではと考えた」と語る。

それだけに一度きりの農業体験ではなく、年間を通しての選手自らの栽培にこだわる。試合日程や天気予報をにらみながら予定を組む阿部さんは「果物の作業が立て込み、梅雨も重なる6月は特に大変」と苦笑する。

試合日のスタジアム前に出店した福島ユナイテッドFC農業部のブース(2020年11月、川崎市の等々力陸上競技場)=同クラブ提供(共同)

試合日のスタジアムには、グッズ売り場脇に農作物の直売所が出現。協力農家の作物や加工品も並ぶ。19年はファンクラブ収入と同額の700万円を売り上げた。昨年はインターネットに特設サイトを立ち上げ、今年は売り上げ1千万円を目指す。

直売所は、J1の湘南ベルマーレやベガルタ仙台など趣旨に賛同するチームの試合会場にも出張する。昨年はJ1優勝が懸かった川崎フロンターレの試合にも駆け付けた。「県産品に興味を持つサッカーファンばかりではない。会場販売はそんな人々にも興味を持ってもらえるきっかけになる」(阿部さん)。福島の生産者と新しい消費者をつなぐ存在として、クラブを活用したい。

5月には、活動が評価され、社会貢献に取り組むクラブに贈るJリーグの賞を獲得した。試合日程に縛られるため、生産量をなかなか増やせないのが悩みだが、阿部さんは「他にもチャレンジしたい作物がある」と次の展開を見据える。選手はまだまだ忙しくなりそうだ。〔共同〕

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