入院調整や自宅療養中に17人死亡 大阪、3月以降

大阪府は10日、3月以降に入院調整中や自宅療養中などの新型コロナウイルスの患者が適切な治療を受けずに計17人死亡したと発表した。府内では感染拡大に伴い病床が逼迫し、重症者は確保病床を上回る事態が4月13日以降続いている。大阪府の医療体制の危機的な状況が改めて浮き彫りになった形だ。
亡くなった17人の内訳は、入院先の調整中4人、宿泊療養先の調整中2人、自宅療養中9人のほか、保健所が感染判明後に連絡を取る前に死亡した患者も2人いた。年代別では60代が6人で最も多く、80代が5人、50代が3人と続き、30代も1人いた。
府によると、自宅療養中に亡くなったのは「第3波」(2020年10月10日~21年2月28日)では60代の1人だった。「第1波」「第2波」ではいなかった。府は第3波を含めた18人のうち、基礎疾患があったのは半数の9人としている。

2月末で前回の緊急事態宣言が解除された大阪府では感染者が増加し、4月13日に初めて1000人を超えて以降、高止まりしている。感染者の増加に伴い、病床は逼迫。重症者の一部は軽症・中等症用病床での入院治療を余儀なくされ、同病床も4月中旬から8割程度が埋まる事態が続いている。
「入院・療養等調整中」は前回の宣言解除後の3月1日時点で63人だったが、今回の宣言が適用された4月25日には2877人まで増加。5月10日には3302人と約2週間で14.8%増えた。自宅療養者も4月25日に初めて1万人を超え、5月10日時点で1万4504人となった。感染者のうち入院している人の割合を示す「入院率」は10%(10日時点)と極めて低い水準だ。
府は増加する自宅療養者の症状が悪化した場合に備え、オンライン診療や投薬治療を拡充している。府医師会などと連携し、自宅療養者向けにオンライン診療を行う医療機関を約450カ所確保した。宿泊施設での療養者に対しては、拠点施設1カ所に医師2人を24時間体制で常駐させ、オンライン診療や酸素投与などの対応にあたっている。