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バイオマス発電、FIT使わず 奈良でNTTなど参加

バイオマス発電を手がけるTJグループホールディングス(大阪府大東市)は29日、NTTグループなどと共同で奈良県生駒市に発電所を新設すると発表した。2025年の稼働予定で、発電量は一般家庭の2万世帯に相当する年8万メガワット時。国の固定価格買い取り制度(FIT)を使わないことで、二酸化炭素(CO2)排出ゼロとみなせるクリーンな電力を販売する。

発電所を運営する「BPSいこま」(大東市)をTJグループの100%出資で設立した。議決権のない匿名組合を通じて、NTTのエネルギー子会社であるNTTアノードエナジー(東京・千代田)のほか、住友林業長谷工コーポレーション東京センチュリーなどが出資する。建設に必要な約70億円は、これらの出資金と銀行借り入れでまかなう。

経営の安定のため発電分の25%はFITを使って大手電力に供給するが、残り75%はグループ傘下の新電力会社を通じて、出資企業などに相対で契約した価格で売電する。軌道にのれば、数年のうちにFITの利用を完全にやめる考え。これだけ規模の大きなバイオマス発電所が、稼働当初から非FITを掲げるケースは珍しい。

FITによる電力は、買い取り価格の一部が電力料金に上乗せされ、国民負担が生じているため、CO2ゼロの再生可能エネルギーとみなされない。調達した企業がそれをうたう場合、非化石証書などを購入する必要がある。加えてFITには10~20年程度の期限があり、その後の事業の継続性が不透明だ。

今回の発電所の出資企業は、CO2ゼロの電力を長期にわたって安定的に購入できる。TJグループも売電先の企業を囲い込むことで、単独で建設するよりも発電規模を大きくして、経営の安定にもつなげられる。TJグループの東野隼士社長は「エネルギーの地産地消という理念のもと、ウィンウィンの関係を築ける」と話す。

出資企業のひとつ、住友林業は電力購入に加えて、関西の住宅建設で生じる廃材をチップに加工したうえで発電燃料として供給する。電力はグループの事業所で使うだけでなく、将来は住宅購入者にも販売したい考え。西川政伸・常務執行役員は「顧客や投資家に対する大きなアピールポイントになる」と話す。

生駒市が過半を出資する地域新電力のいこま市民パワー(生駒市)は今回の発電所に出資しないものの、電力を購入する。小紫雅史市長は「現在、調達電力のうち1割しかない再生エネルギーの比率を4割まで高められる」とみており、伸び悩んでいる市民への電力販売に弾みをつけたい考えだ。

TJグループは大阪府一円から街路樹の伐採材や建築廃材などを収集してチップに加工するとともに、大東市内のバイオマス発電所で年4万メガワット時を発電。いったん全量をFITで売却した後、買い戻して廃材の排出元である企業や自治体に販売している。

市場価格の変動の影響を最小限にとどめるのが狙いだが、13年後にはFITの期限が切れる。2カ所目となる今回の発電所は、FIT依存を断ち切る試金石と位置づけている。

(高橋圭介)

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