記録廃棄、関係者聞き取り 神戸連続児童殺傷で最高裁
神戸市で1997年に起きた連続児童殺傷事件を巡り、当時14歳で逮捕された元少年に関する全ての事件記録が廃棄されていた問題で、最高裁は10日、当時の神戸家裁の職員ら関係者を対象とした聞き取り調査を始めた。最高裁は記録保存の運用が適切だったかどうかを有識者委員会で検証するとしており、事前準備の一環としている。

10日の聴取はオンラインで実施。今後数日間にわたり、当時の廃棄の経緯などについて複数人から話を聞く。年内に予定される有識者委員会の初会合に向け、関係者への聞き取りを実施する必要があると判断した。神戸家裁は2011年2月28日に廃棄された可能性が高いとしている。
最高裁は少年事件の記録のうち、史料的価値の高いものは保存期間満了後も廃棄せず、事実上の永久保存に当たる「特別保存」とするよう内規で定めている。
対象は全国的に社会の耳目を集めた事件などとしていたが、神戸の連続児童殺傷事件以外にも長崎県佐世保市で04年に小学6年の女児が同級生に殺害された事件など、複数の重大少年事件で記録が廃棄されていたことが10月に判明。各地の裁判所ごとに運用が異なる実態も浮かんでいた。
最高裁が全国の家裁に特別保存の扱いとした少年事件記録を確認した結果、15件にとどまっており、本来なら対象と判断するのが相当だった記録が相当規模で廃棄されたとしている。
最高裁は、特別保存の運用を改めて調査、検証する必要があるとして、全国の裁判所に少年事件以外も含めて保存期間の満了した全ての裁判記録の廃棄を一時停止するよう指示。有識者委員会で裁判所に残る記録全ての保存の在り方について意見を聞き、今後の方針を決めるとしている。〔共同〕