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被爆者の人生たどる資料 継承する会10年、若者参加

原爆被害の実相を未来につなごうと作家の大江健三郎さんらが発起人となった「ノーモア・ヒバクシャ記憶遺産を継承する会」(東京)が10日、設立から10年を迎えた。日本原水爆被害者団体協議会(被団協)と協力し、証言や核兵器廃絶運動の記録の資料を収集、保存。作業に加わった若者らは「『あの日』の後も含めた被爆者の人生を感じられる」と語る。

会は2011年12月10日、大江さんや被団協代表委員(当時)の故岩佐幹三さん、安斎育郎立命館大名誉教授らが立ち上げた。被爆体験や平和への思いを発信しようと、資料を集めた「継承センター」設立や、デジタルアーカイブ化にも取り組む。

活動には、戦争を知らない若い世代もボランティアで参加。昭和女子大(東京都世田谷区)では12年度以降、学生らが文書の整理に携わり、手記や調査票など被爆者の肉筆に触れてきた。今年10~11月、大学の博物館で特別展を開催。会から借りた資料や、それを基に被爆者の歩みをまとめたパネルを展示した。

「被爆の苦しみを記す一方で、栗きんとんのレシピも書いてあります」。ある女性被爆者の手帳の前で、4年の印出也美さん(22)が解説した。「普通の主婦としての一面もあるんです」

印出さんは、資料を読み込み、実際に会ううちに「『被爆者』と一口で言っても、いろいろな人がいる」と気付いた。被害は広島と長崎に原爆が落とされた日にとどまらず、病気などの形でその後の人生でも続く。それにあらがい核兵器廃絶や援護を訴える姿に触れ、一人の人間として見詰めるようになった。

3年の佐藤恭さん(21)は調査票につづられた、細かく震える字を忘れられない。壮絶な原爆投下時の記憶に、その後の体調不良。びっしりと紙を埋めた記述に「後世に伝えたい思いの強さが読み取れた。生の資料の価値を感じました」。

会で資料整理を担う事務局の栗原淑江さん(74)は「学生らの気付きや特別展は、資料を残す意義を具現化してくれた」と喜ぶ。「被爆者はいずれいなくなる。記録から、彼らがどう歩み何を求めてきたかを知ることで『ノーモア・ヒバクシャ』の思いを受け継ぎたい」と話した。〔共同〕

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