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裁判員「18歳以上」周知不足 法教育充実求める声も

重大な刑事事件を扱う裁判員裁判で、裁判員に選ばれる年齢が「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げられることになった。来年4月の改正少年法施行に伴う制度の大きな転換だが、年齢引き下げの是非を巡る議論や周知は不十分な状況だ。早ければ2023年から高校生が裁判官と並んで審理に臨む可能性があり、学校での法教育の充実を求める声が上がる。

Q「裁判員に選ばれる年齢が、20歳以上から18歳以上になると聞きましたが、本当ですか」

A「本当です」

市民団体「裁判員ネット」代表の大城聡弁護士(47)は9月、最高裁のホームページを見て驚いた。弁護士仲間に聞いても誰も把握しておらず「寝耳に水だった」と振り返る。なぜ、このような混乱が生じたのか。

裁判員法は、裁判員を「衆院選の選挙権を有する者」から選ぶと定めている。16年に改正公選法が施行され、選挙権年齢は18歳以上に引き下げられたが、このときは「当面の間、18、19歳は裁判員に就くことができない」とする付則が設けられた。

当時、18、19歳はまだ少年法上の「少年」扱いで「人を裁くのは妥当なのか」との意見を踏まえた対応だった。

だが、付則は「あくまで暫定的な措置」と法務省幹部。今年5月、事件を起こした18、19歳を「特定少年」とし、厳罰化を図る改正少年法が成立すると同時に削除された。幹部は「削除の是非については国会で必要な検討を経た」と説明する。

一方、大城弁護士によると、衆参両院の法務委員会の議事録に年齢引き下げを議論した形跡はない。「市民参加の制度である以上、どのような市民が選ばれるかは根幹にかかわる。妥当性を改めて話し合う必要があった」と苦言を呈した。

22年秋に作られる裁判員候補者名簿には18、19歳も記載され、この中から23年の裁判員が選ばれる流れだ。学生や生徒であれば、辞退もできる。

最近になって法務省や最高裁は、広報活動に本腰を入れ始めた。高校生向けのリーフレットを作成し、ホームページでも情報発信しているが、SNS(交流サイト)では「18歳を死刑判決に関与させるのか」などと不安の声も。大城弁護士は「法相や最高裁長官が直接、10代にメッセージを出すぐらいはすべきだ」と語る。

裁判員経験者の交流団体を主宰する田口真義さん(45)は「主権者意識を培う良い機会になる」と引き下げに前向きだが「重要なのは学校での法教育だ」とも指摘する。

22年度から高校で「公共」の科目が新設され、模擬裁判も想定されている。田口さんは「今の教育では裁判員制度に触れることはあっても、当事者感覚を身に付けるまでは難しいのではないか。今後は制度を自分事として受け止められるような掘り下げた教育を実践してほしい」と求めた。〔共同〕

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