ひも状iPS網膜を移植 神戸の病院、定着期待

神戸市立神戸アイセンター病院は9日、人工多能性幹細胞(iPS細胞)から作った網膜の細胞をひも状に加工し、目の病気の患者に移植する手術を1例実施したと発表した。ひも状に加工することで定着率の向上が期待できる。今後約1年経過を観察し、効果や安全性を確認する。

病院によると、網膜の外側にあり、光を感知する機能の維持に関わる「網膜色素上皮細胞」をiPS細胞から作製し、長さ約2センチで髪の毛くらいの太さのひも状に加工。細胞の培養には人型ロボットを活用した。
網膜の疾患「網膜色素上皮不全症」で矯正視力が両目とも0.1の50代女性患者に11月下旬、1本を移植した。今後、最大2本を患者約50人に移植する予定。
これまで細胞を含む液体を移植する形で実施していたが、細胞が流出するなどして定着率が低いのが課題だった。9日にオンラインで記者会見した栗本康夫院長は「網膜の再生医療はこれまで不可能とされたが、高い安全性で普通の治療として実施できるようになった」と話した。
厚生労働省の専門部会が2月、病院の臨床研究計画を了承していた。〔共同〕