収賄罪の医師に逆転有罪 大阪高裁、賄賂と認定
大阪府岸和田市の市立岸和田市民病院の花粉症に関する共同研究を巡る贈収賄事件で、収賄罪に問われた病院の元呼吸器センター長で医師の加藤元一被告(65)の控訴審判決で、大阪高裁は9日、無罪とした一審・大阪地裁判決を破棄し、懲役2年、執行猶予3年、追徴金20万円の有罪判決を言い渡した。加藤被告が受け取った現金20万円について、一審とは異なり賄賂と認定した。
贈賄罪に問われ、一審で無罪となった一般社団法人「医療健康資源開発研究所」の代表理事、小嶋純被告(66)にも、懲役8月、執行猶予2年の判決を言い渡した。
一審判決は20万円について、医学専門家としての助言に対する対価と判断したが、高裁の和田真裁判長は共同研究を円滑に進める見返りとして支払われ「(研究の実質的な受け入れ権限があった)加藤被告の職務との関連性が非常に高い」と認定した。
弁護側は医学専門家に対する相場の範囲内と主張したが、高裁は「公務員の職務が金により動かされる懸念を社会に持たれるのに十分な額」と指摘した。一方で、研究自体に不正はなかったことなどから執行猶予が相当と結論付けた。
判決によると、病院と研究所は、粘着クリーナーで着衣の花粉を除去したことが花粉症に及ぼす効果について共同研究していた。加藤被告は賄賂として現金20万円を2019年4月に小嶋被告に振り込ませたとして同年12月に起訴されていた。〔共同〕