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レゴが築く造形は無限 ビジュアルで迫る現場

現場探究

(更新)

子どもに人気のブロック玩具「レゴ」。マスター・モデル・ビルダーと呼ばれる達人が大阪にいる。頭で描いた設計図をもとに、複雑な形を組み立てる技術は唯一無二。2015年にアジア人女性として初めて認定され、独創的な作品を通じてブロックの魅力の普及に一役買っている。

【LBSローカルビジネスサテライトの動画をこちらに】

5メートル四方の部屋に所狭しと並ぶレゴ製の「太陽の塔」やウクレレ――。大阪市の観光スポット「海遊館」から歩いて5分。テーマパークのレゴランド・ディスカバリー・センター(LDC)大阪(大阪市)がなかやまかんなさんの職場だ。

数千種類ものブロックが収められた空間は、大学の研究室さながらの雰囲気。部屋の窓越しには工夫にとんだ作品を見ようと、目を輝かせる子どもたちが集まっていた。

レゴ(デンマーク)は約140カ国でブロックを販売する。本格的な建築物もつくれ、大人も含めて世界中に愛好家が存在する。

なかやまさんはLDC大阪のマスター・モデル・ビルダー。世界24カ所のLDCに原則1人ずつしかいない職人だ。15年2月のコンテストで優勝して就任。現在は日本では3人だけだ。

初めてレゴに触れたのは0歳で、幼稚園の卒業文集に「将来はレゴで働きたい」と書いたほどだった。ロボット研究の一環でレゴを扱う授業があることを知り、大阪大学基礎工学部に進学。大学院在学中にはレゴ部を立ち上げた。

展示物の制作や企業との協業を通じ、新たな表現力といった魅力を発信する役割を担う。テレビの企画では、愛知県をテーマに高さ約1メートルの金のしゃちほこを制作した。半年ほどかけて1万5000個のブロックを使った大作は「レゴで作ったことが画面越しでも分かるようにあえて解像度を落とす工夫を凝らした」。

職人技を支えるのは、あまたの制作で培った経験値。「作る、壊すを数え切れないほど繰り返してきた。今や設計図を描くことはほとんどない」。直線的な作品では全体のバランスや色合い、細部のつくりを頭の中で描いてしまう。

難しいのは、生き物や自然など左右が非対称なものの再現だという。名古屋コーチンではゴツゴツした脚を表現するため、パーツの向きを不ぞろいにして側面の滑らかさをあえて取り払った。ウクレレでは中央部の曲線を描こうとパーツを積み重ねた。

大切にしているのは、愛好家をつなぐ橋渡しとしての役割。「制作の腕前に限ればトップではない」と謙遜しながら、SNS(交流サイト)を通じた発信を続ける。技術を伝え、東京五輪のピクトグラムが話題になれば翌日にはレゴで再現。愛好家にとっては、最先端の情報に触れられる生き字引のような存在だ。

遊びと捉えられがちなレゴだが、「小さい子どもでもブロックがいくつ必要なのかを判断することで数的感覚を養える」と教育的な利点も訴える。今後は「プログラミングなど自分が持つ知識を生かし、動くレゴなどの難しいモデルを組み立てる教室も手掛けていきたい」と話した。

(安田龍也)

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