京都の市営交通値上げ検討 バス20円・地下鉄30円軸に

京都市は8日、市営地下鉄・市バスの運賃値上げを内容に盛り込んだ中長期の市営交通の経営計画案を公表した。2024年度ごろに地下鉄で約11%、市バスは約9%の値上げを軸に検討する。新型コロナウイルス禍で市営交通事業の経営は悪化しており、市交通局によると両事業を維持するために値上げは不可避だという。
市営交通の21~28年度までの経営計画を検討する有識者委員会で公表した。地下鉄で現在の区間運賃に30円上乗せ、市バスで均一運賃区間の料金を20円値上げする改定案を提示。実現した場合、単年度でそれぞれ26億円、16億4千万円の増収効果が見込まれる。

20年度決算では地下鉄は54億円、市バスは48億円の大幅な赤字となった。地下鉄は21年度に経営改善についての計画策定が義務付けられる「経営健全化団体」に転落した。市バスはインバウンド(訪日外国人)急増を背景に観光路線が全体の収益を補っていたが、20年度は全82路線が赤字となり、23年度に経営健全化団体に陥る見通しだ。
新たな経営計画案では地下鉄・市バスともに早期の経営健全化団体からの脱却を目標に掲げる。運賃値上げのほかダイヤ改正などの経費削減策を含めた対策を講じると、地下鉄は24年度に市バスは27年度には経営健全化団体から脱却できる見通し。地下鉄は全国の公共交通の中で初乗り運賃(220円)が最も高い。市バスは1回乗車で230円の均一運賃区間制度をとっている。
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