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シャープ23年3月期の純利益32%減 パネル工場買収響く

シャープは8日、2023年3月期の連結純利益が前期比32%減の500億円になりそうだと発表した。減益は新型コロナウイルスの感染拡大で家電の販売が落ち込んだ20年3月期以来。巣ごもり需要の一巡によるテレビ需要の減少で液晶パネル価格が低下しており、6月に買収するパネル工場の採算悪化が影響する見通しだ。

営業利益は23%減の650億円、売上高は円安の影響もあり8%増の2兆7千億円を見込む。シャープは5月11日に22年3月期の連結決算を発表したものの、半導体不足などで先行きが不透明として23年3月期見通しの公表を先送りしていた。

今期の為替レートは1ドル=125円を想定する。対ドルで1円円安になると営業利益は19億円のマイナス、売上高は110億円のプラスになるという。

市場予想の平均であるQUICKコンセンサス(8日時点)と比べ、会社見通しは純利益、営業利益ともに約1割下回った。大和証券の栄哲史アナリストは「半導体不足や中国・上海の都市封鎖(ロックダウン)による原材料高や調達コストの上昇が大きかった可能性がある」と分析する。

セグメント別では、液晶パネルの生産を除くテレビやオフィス関連事業は増収増益の見込み。欧州の複合機などの販売が回復する。一方、主力の白物家電は増収減益になるもよう。円安の進行により国内で売る中国やアジア製商品の採算が悪化する。

パネル工場を運営する堺ディスプレイプロダクト(SDP)の買収も重荷だ。会社は23年3月期に営業利益ベースで約300億円のマイナス要因になると見込む。米調査会社DSCCによると、5月の65インチのパネル価格は直近のピークだった21年7月から半分になった。ロシアのウクライナ侵攻で周辺国のテレビ需要も減退が見込まれる。

現在はSDP株の約2割を持ち、パネルの安定調達を目的にサモアを本拠地とする投資会社から残りの株を取得し完全子会社にする。新株発行などによる株式交換で対応する。8日の東京株式市場のシャープ株終値を基に計算すると約400億円に相当する。

SDPは21年12月期に単独の最終損益が4期ぶりに黒字転換し、営業利益も93億円だった。今期は市況悪化の影響を受けるため、みずほ証券の中根康夫シニアアナリストは「少なくとも150億~200億円の営業赤字を見込む」という。

SDPの採算を改善するため、テレビ用の大型パネルから収益性の高いノートパソコンや自動車向けにシフトする。6月に社長に就く呉柏勲最高経営責任者(CEO)は5月の記者会見で「(中小型パネルを生産する)亀山工場と設計や開発など可能なものは共有し中小型パネルの生産を拡大したい」と語っていた。

SDPは09年から稼働を始めたが赤字続きでシャープの経営危機を招く要因になった。鴻海(ホンハイ)精密工業の傘下入り後、同社の創設者である郭台銘(テリー・ゴウ)氏の資産管理会社が過半を握ったが、19年までに持ち分を売却した。シャープは21年に保有するSDP株を全て売却すると表明したが、撤回した経緯がある。

SDPを巡っては「競争力を付けるために抜本的な改革が必要だ」(みずほ証券の中根氏)との声がある。てこ入れは急務で、再びシャープの経営課題となっている。

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