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中古輸入車あえてドレスダウン ビジュアルで迫る現場

現場探究 

(更新)

「服には気を配るのに、愛車には無関心な人が多い」――。大阪の古着店主の実感が「クルマを古着のようにオシャレに着こなす」提案をする中古輸入車店を生んだ。あえて高級感を薄めつつ、アクセントになる装飾をあしらう。さながら古着感覚のコーディネートが、クルマ離れ世代の所有欲を刺激する。

JR大正駅(大阪市)から徒歩15分。住宅街に突如、欧州車がぎっしり並ぶ一角が現れる。中古車店の「ゼロカートラブル」だ。メルセデス・ベンツ、ボルボ、ジャガー、ランドローバー……。どれも高級車なのに、どこかやぼったい。

背中を丸めて手を動かす大柄な男性は大きめシャツにハーフパンツ、ソックスに革靴。だて眼鏡に夏でもニット帽。中古車店員には到底見えない装いだ。アパレル出身の代表、三上直記さん(41)は、服のコーディネートを提案するように顧客と対話して車種やスタイルを決める。いわばオーダーメードだ。

主に1990年代後半~2000年代前半の、安価で壊れにくい中古輸入車を扱う。「最近のクルマはつり目ばかりで引かれない」と目尻をぐいっと引っ張り上げてちゃかす。

納車まで8カ月以上。にもかかわらず受注は全国から増える一方だ。スマートフォンに返信できないほど大量の問い合わせが届く。

人気の理由は自ら考案した「チープアップ」というスタイルだ。例えばバンパーやフロントグリルを商用車のように黒く塗り替え、高級車をあえて安っぽくする。ここに古びた黄色いフォグランプやバッジ、ルーフキャリアなどを足してドライバーの個性を醸し出すと、こなれた印象になる。

若者が輸入車に関心を持っても、懐事情や年相応さが邪魔になることがある。三上さんは高級ブランドの古着をコーディネートに取り入れる感覚で、肩肘張らずに乗れるようにする。「日本では高級車でも、欧州の町中では大衆車と同じ扱い。そんな欧州らしさを表現している」と話す。

幼い頃から道行く車種を言い当てた根っからのクルマ好き。「ヤンキー文化が主導する自動車のカスタマイズに別の選択肢をつくりたい」と、07年にクルマをファッションアイテムと捉える中古車販売店を立ち上げた。

関西発のファッション雑誌「カジカジ」の連載を14年に始めると、感度の高い顧客が集まった。自らのスタイルをチープアップと名づけて志を同じくする中古車店と流行を作り出し、複数のファッション誌で取り上げられるようになった。チープアップは米国の有名自動車番組で一般名詞として使われたほどだ。

「納車は特別な思い出の日。オシャレをして愛車を待っていてくれる」と、可能な限り全国どこでも自ら運転して届ける。顧客は20~40代前半のクルマ離れ世代が中心。腰を落ち着けて話し不安を取り除く。

休日はめったになく、日が昇るまでの夜通しの作業も当たり前だ。「僕の体はボルボよりも頑丈ですから」と、クルマの魅力を広げるためアクセルを踏み続ける。

(宮住達朗)

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