グリコ子会社、千葉県の工場で排水データ書き換え
江崎グリコは7日、生産子会社のグリコマニュファクチャリングジャパン(大阪市)の千葉工場(千葉県野田市)で、少なくとも約3年半にわたって工場排水の水質データを規制値を下回るように書き換えていたと発表した。最大で規制値の約3倍の窒素などを含んだまま排水していた。千葉県は7日から立ち入り検査を実施して事実関係を確認する。
グリコは「(近隣住民ら関係者に)多大なるご迷惑をおかけしたことを深くおわび申し上げます」と陳謝するコメントを発表。従業員への教育徹底などで再発防止に努めるとした。窒素やリンはプランクトンの養分となって水質汚染につながる懸念があるものの、同社は今回の規制値を超えた排出について「環境に対する影響は軽微」と説明した。
千葉工場ではアイスを生産している。グリコの発表によると、データが残っている2019年5月から22年12月の間に、窒素やリンの濃度や総量が規制値を超える排水を50回行い、同県を流れる座生川に流出させていた。水質分析データは計97件書き換えていた。
過去には17年2月に工場を立ち上げた後、同年8月に県の立ち入り検査を受け、窒素やリンの総量規制値を上回っているという指摘を受けていた。対応策として18年に装置を導入したが、19年に生産する製品が変更。装置が十分に機能しなくなったが、適切な対応を取らなかった。
グリコは同工場の担当者が上司に報告せずに測定値を書き換えていたことなどから発見に至らなかったと説明した。処理水の濃度については規制値を超過した際にアラームを発する仕組みになっているが、アラームがあっても特段の対応をしないなど、モニタリング体制や設備のメンテナンスも不十分だったとしている。
2月23日に同工場の排水処理施設から未処理の水があふれ出す事故が発生。自社調査の過程で過去の水質分析結果を確認したところ、排水の基準超過やデータの書き換えが発覚した。
同社は2月28日からは排水の水質基準を順守する管理体制で工場を運用しているという。また3月末までに排水処理設備のメンテナンスも進める。
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