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砂防ダムで被害防げず 熱海土石流、大量土砂想定超す

静岡県熱海市で起きた土石流災害では、土砂が流出した逢初川の上流部について、県は早くから危険性を認識していた。1999年に砂防ダムを建造したものの、人的被害を防げなかった。山あいの傾斜地に住宅が広がっており、インフラ整備による防災の限界や、日本のまちづくりの課題が浮き彫りになった形だ。

砂防ダムは、渓流などに設置されるコンクリートなどの構造物。川の流れを維持しながら、土砂をせき止める有効な対策とされる。98年に熱海市の初川で発生した土石流では、2基の砂防ダムで下流の人家被害を防いだ例もある。

だが今回、逢初川の上流で発生した土石流は下流の人家を巻き込みながら海岸まで約2キロに達した。崩れた土砂は約10万立方メートルに上るとされる。

逢初川の砂防ダムの容量は4千立方メートル。災害後、上空からの映像で土砂をためているのが確認され、県の担当者は「被害を軽減する効果は一定程度あったはず」と話すが、焼け石に水だったことは否めない。担当者は「山腹からの大量の土砂を想定していなかった」と悔やんだ。

山と海に囲まれ平地の少ない熱海市は、海が一望できる温泉地として1960~80年代に別荘やリゾート、分譲マンションなどの開発が相次いだ。急傾斜地に住宅や宿泊施設がへばりつくように立地している。建物の老朽化もあり、災害への弱さが懸念されていた。

近年、温暖化の影響で大雨が増加する中、リスクは全国各地にある。人口減や住民の高齢化に対応して都市機能の集約を目指す計画エリアに、災害の懸念がある場所を含めている自治体も多い。

国は昨年、より安全な場所への都市機能集約を促すため、関連法を改正。宅地のかさ上げや避難路整備などを計画に組み込むよう市町村に要請。熱海市も計画策定を進めていたところだった。

熱海市の被災現場周辺は、土砂災害警戒区域に指定されていた。区域は静岡県内だけで約1万8千カ所。広範なため、砂防ダムなどの整備は被害を予測しながら優先順位を付けて対応しているのが現状だ。

こうした警戒区域は全国の約66万カ所に及び、どこで土砂災害が起こるか予測するのは難しいのが実情だという。

宅地のかさ上げなどの対策も、巨額の費用と時間がかかり、一朝一夕では終わらない。国土交通省の担当者は「警戒区域の住民に、早期避難を意識してもらうことが重要だ」と強調した。〔共同〕

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