大阪ガスの23年3月期、純利益を上方修正 株売却益計上

大阪ガスは6日、2023年3月期の連結純利益が前期比72%減の360億円になりそうだと発表した。従来予想を70億円上回る。米国で出資している液化天然ガス(LNG)プラントで火災が発生した影響が想定以上に長引き、代替調達などの費用が膨らんでいるが、複数の政策保有株の売却で104億円の売却益を計上する。
原料価格の上昇を都市ガスの販売価格に転嫁し、単価が上昇したことで売上高は43%増の2兆2750億円で従来から250億円上方修正した。一方、営業利益は前期比57%減の430億円と従来予想を据え置いた。
米テキサス州で出資するLNGプラント「フリーポート」では当初22年末の部分再開を見込んでいたが、当局の承認遅れなどで稼働停止が続いている。近く再開する見通しというが「年度末まで再開がないという前提で通期予想を見積もっている」(同社)としている。フリーポートの火災による経常利益への影響は通期で1495億円と、前回予想より400億円膨らんだ。
ガスや電気の販売価格は燃料価格の一部を転嫁できる仕組みだが、同社は転嫁の上限に達した。このため「電力・ガスで3ケタ億円の減益要因になる」という。
同日発表した22年4〜12月期連結決算は、最終損益が13億円の赤字(前年同期は551億円の黒字)だった。原料価格が上昇する局面で、販売価格への転嫁が遅れることによる「タイムラグ差損」が響いた。