京大研究用原子炉、廃炉へ 老朽化などで26年運転終了
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京都大は5日、複合原子力科学研究所(大阪府熊取町)にある研究用原子炉1基の運転を2026年5月で終了し、廃炉にすると発表した。東京電力福島第1原発事故後の安全規制強化や老朽化により、維持管理が難しくなった。もう1基の臨界集合体実験装置は運転を続ける。
京大によると、原子炉は1964年に運転を開始し、最大出力5千キロワットの中出力炉。核分裂で発生した中性子を物理学や化学などのさまざまな研究に利用してきた。運転終了後、10年程度の冷却期間を経て解体する。加速器などの代替施設を整備するため、研究は継続できると説明した。

使用済み燃料が国内で処理できず、米国による引き取りも26年5月に発生したものまでで期限を迎えるため、運転終了をこのタイミングとした。核不拡散のため、日米政府間の取り決めで、日本の研究用原子炉から出たものは米国が引き取ることになっていた。
研究所の中島健所長は京大で記者会見し「放射線を使ったがん治療法など成果を上げてきたが、安全を考えるとここが潮時だ」と述べた。〔共同〕