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「西の秋葉原」大阪・日本橋、闇市から「オタロード」へ

とことん調査隊

記者(25)が大阪市内を散策していると、東京・秋葉原のように数多くのアニメ関連ショップが立ち並ぶエリアに行き当たった。調べてみると、この一帯は「オタロード」と呼ばれているようだ。なぜ大阪の日本橋にこのような街が生まれたのか。理由を探ってみた。

まず日本橋の成り立ちを調べるため大阪歴史博物館に向かった。江戸時代の日本橋は当時の中心地から少し南に離れたところにある宿場町だった。歌舞伎演目の「夏祭浪花鑑(なつまつりなにわかがみ)」で、主人公の団七が義父を殺害してしまう印象的なシーンの舞台でもあるという。

さらに深く知るため、日本橋地域の観光案内をしている日本橋総合案内所を訪れた。出迎えてくれたのは、日本橋まちづくり振興(大阪市)の野村正則社長(61)。明治以降の日本橋は古着などを扱う中古品市場が形成され、昭和初期になると古書店が60軒ほど出店し、学生らでにぎわった。

だが、これらの店は戦災で大半がなくなってしまう。戦後は闇市が開かれ、生活用品だけではなく軍が放出したラジオパーツなどが売られ始めた。これが、後年の電気街の礎となった。1978年には「でんでんタウン」という愛称が付く。

平成に入っても街の変貌は続く。当時は高級品であったパソコンが店先に並び始め、パソコンゲームやアニメが収録されたビデオテープなども販売されるようになった。その波は堺筋の裏通りにも及び、アニメ関連のグッズを扱う店舗が集まってきた。

90年代後半から堺筋の裏通りは、こうしたアニメ関連グッズを求める「オタク」が集まるエリアとの意で「オタロード」と呼ばれるようになったという。秋葉原もラジオパーツがきっかけで電気街になり、いまではオタクの聖地として認識されているという点では共通だ。成り立ちは似通っている日本橋と秋葉原だが、違いもある。

秋葉原にはない日本橋の特徴を、兵庫県立大の杉山武志准教授(社会経済地理学)は「手作り感のある街づくり」と指摘する。街づくりを主導するのは、日本橋地域の2つの商店街の有志が中心となって2003年に設立した日本橋まちづくり振興だ。同社は街の活性化の一環として「日本橋ストリートフェスタ」に力を入れている。

05年に始まった同フェスタは、大規模なコスプレパレードで知られる。19年には1日で23万人(主催者推計)が参加し、国内で最大規模のコスプレイベントとなった。近年では、台湾やヨーロッパのコスプレーヤーを招待するといった国際交流にも力を入れており、インバウンド(訪日外国人)によるにぎわいもみせている。

日本橋で飲食店を経営する男性は「店舗が密集していることによる買い物のしやすさや、大阪のあたたかい雰囲気を求め、秋葉原ではなく日本橋に来るために来日する外国人もいる」と話す。

秋葉原とは異なる大阪独特の雰囲気は、最寄り駅の規模の違いから生じているとの指摘もある。地下鉄恵美須町駅など日本橋の周辺はこれまで大規模な再開発が行われてこなかったため、昔の姿のままの小規模な店舗が残る。一方、秋葉原はJR駅前の都有地を中心とした再開発が進み、アニメイベントを開催できる複合ビル「秋葉原UDX」などの整備が相次いだ。

ただ、新型コロナウイルス禍の影響は日本橋にも及んでいる。ストリートフェスタは2年連続で中止だ。デシリットル・ファクトリー(大阪市)が発行するフリーペーパー「pontab(ぽんタブ)」の調査によれば、近年の日本橋エリアの店舗数は増加傾向にあったが、20年の店舗数は純減となった。

今後の日本橋について、野村さんは「国内需要の取り込みをしっかりやりたい」と話す。ネット上では「西の秋葉原」と表現されることもある日本橋。秋葉原に負けない、さらなる手作り感のある街をみたい。(三宅亮)

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