「本格稼働はまだ先」 全樹脂電池工場の初動遅れる

三洋化成工業の樋口章憲社長は5日、2021年4~9月期決算説明会を開き、次の成長の柱として位置づけている次世代リチウムイオン電池「全樹脂電池」の福井工場の稼働が遅れていると明らかにした。当初は10月の本格稼働を予定していた。樋口氏は「世界初の工場ということもあり予定通りにはいっていない。来年の早いタイミングでの本格稼働を目指す」と述べた。
全樹脂電池は三洋化成の関連会社APB(東京・千代田)が開発する。採用が決まっている川崎重工業の無人潜水機(AUV)については予定通り来春に納入できる見通し。福井工場は5月に開所し、試験運転を始めた。工場の自動化が想定通り進まず、本格稼働が遅れているという。
同日発表した三洋化成の21年4~9月期の連結決算は純利益が前年同期比90%増の44億円だった。売上高は同18%増の775億円だった。潤滑油添加剤など自動車向けの素材が好調だった。一方で主力の高吸水性樹脂(SAP)の中国向けの在庫が過剰となり生産を調整した。