JR東海社長、ローカル線は「収支公表の必要ない」

JR東海の金子慎社長は大阪市内で開いた4日の記者会見で、利用者数が基準より少ないローカル鉄道の赤字路線について、「収支というかたちで公表する必要はないと考えている」と述べた。地方路線の収支公表はJR各社でJR東海のみが実施していない。
JR東日本やJR西日本などは、新型コロナウイルス禍前の2019年度時点で輸送密度(1キロメートルあたりの1日の平均利用者数)が2000人未満の線区を収支公表の基準としている。JR東海の管内では計4路線が同基準に当てはまり、うち国土交通省の有識者会議の提言で協議会を設ける主な基準とした輸送密度1000人未満は名松線のみだ。金子社長は「(廃線やバスなどへの転換等の)予定は当面ない」とし、収支公表による自治体との議論の喚起は不要との見方を示した。
JR東などが進める新幹線などの指定席特急料金の変動幅の拡大については、「導入する方向で検討、準備している。導入時期や変動幅は未定だ」(金子社長)とした。現在は繁忙期に通常料金から200円高くし、閑散期には200円安くするといった価格差をつけている。JR東は4月に、年末年始など最も混雑する時期に400円高くする「最繁忙期」という区分を新たに設置。JR西の北陸新幹線やJR北海道の北海道新幹線でも同様の料金体系としている。