タリウムとは?どう入手? 京都の女子大生殺害事件
京都市のマンションで女子大学生がタリウムの摂取により殺害された事件で、大阪府警は不動産賃貸業の男(37)を殺人容疑で逮捕、送検した。
タリウム化合物は毒物及び劇物取締法で劇物指定され、取扱業者らには厳格な販売管理が義務付けられている。事件の動機と併せて男による薬品の入手経緯の解明が今後の捜査の焦点だ。
大阪府警によると、死亡した浜野日菜子さん(21)の体内からは毒性の強いタリウムが検出された。
タリウムは鉛に似た柔らかい白色の重金属。無味無臭で水に溶けやすい性質がある。硫酸タリウムや酢酸タリウムなどの化合物を人が摂取すると神経症状が現れ、重症の場合は呼吸まひで死亡することもある。

成人の致死量は約1グラムで、硫酸タリウムなどの化合物は農薬や殺鼠(さっそ)剤などに使用されていた。
その危険性から販売・譲渡できるのは自治体に登録した業者に限られ、登録は6年ごとの更新が必要。販売の対象や方法にも具体的な規制があり、提供日や販売数量のほか、購入者の名前や職業、住所などの記録を一定期間保存する義務がある。
18歳未満のほか、麻薬などの中毒者、氏名や住所を確認できない人には譲渡できない。
強い毒性は過去の事件でも悪用された。名古屋大学の元女子学生が高校在学中、同級生らに硫酸タリウムを飲ませた2012年の殺人未遂事件では、薬局で年齢を偽って硫酸タリウムを入手。飲み物に混ぜて同級生に飲ませてタリウム中毒にさせた。
浜野さんが殺害された事件では、殺人容疑で逮捕された男がいつ、どこでタリウムを入手したのかが明らかになっていない。府警は男の取り調べや周辺関係者からの聞き取り、防犯カメラ映像の解析などを通じ、タリウムの入手について重点的に捜査する方針。
(斎藤さやか、三宅亮)
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