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ふるさと納税巡る交付税減額は違法 泉佐野市、国に勝訴

(更新)

ふるさと納税制度で多額の寄付金を集めたことを理由に国が特別地方交付税を減額したのは違法だとして、大阪府泉佐野市が決定取り消しを求めた訴訟の判決が10日、大阪地裁であった。山地修裁判長は「ふるさと納税の収入を特別交付税の減額要因と定めることは違法だ」として国の減額決定を取り消した。

ふるさと納税制度には全国のほとんどの自治体が参加しているが、寄付額を理由に減額されたのは泉佐野市を含む4市町で、ほかの自治体にも影響を及ぼす可能性がある。

泉佐野市は寄付者にアマゾンギフト券などを贈り、2018年度に約498億円を集めた。総務省は自治体の財源不足を補う特別交付税について、ふるさと納税の寄付収入に応じて減額できるよう省令を改正し、19年度分の市の同税を前年度比約4億4000万円減の約5300万円とした。この省令変更が妥当かどうかが争点だった。

山地裁判長は判決理由で、地方交付税法は特別交付税の算定方法について、自治体の標準的な収入である「基準財政収入額」などを考慮して定めていると指摘。その上で、ふるさと納税は「基準財政収入額の算定の基礎となる収入項目に当たらない」とした。

ふるさと納税を理由に減額できるかどうかは「立法者が政治的、政策的観点から判断すべき性質の事柄」とし、総務相が判断する省令改正による減額は「地方交付税法の委任の範囲を逸脱した違法なものだ」と結論づけた。また特別交付税額の決定は「優越的地位に基づく公権力の行使で行政処分にあたる」として、自治体による訴訟の対象になるとの判断も示した。

訴訟の背景にはふるさと納税制度を巡る泉佐野市と国との対立がある。08年に始まった同制度では過度の返礼品競争が問題視され、国は寄付額に対する返礼割合の制限などを求める通知を出したが、同市を含む一部自治体は従わなかった。国はふるさと納税の寄付額が多いほど特別交付税が減るよう省令を改正。同市を含む4市町を19年6月に始まった新制度から除外した。

泉佐野市が制度復帰を求めて起こした訴訟では、最高裁が20年6月、除外決定を違法として取り消す判決を言い渡した。「新制度では施行前の過去の実績をもって(泉佐野市を)不適格とすることを予定していると解するのは困難」などと指摘し、同市を含む4市町はその後制度に復帰した。

今回の訴訟は最高裁判決が出る直前に提訴され、国は立て続けに敗れたことになる。再度、司法がふるさと納税を巡る運営のあり方に一石を投じた形だ。

泉佐野市の千代松大耕市長は10日、「判決は国の交付税行政を質す意義があった。国は速やかに決定を取り消し、違法な省令を取り下げることを望む」とコメントした。金子恭之総務相は「判決の内容をよく精査した上で、関係省庁と協議して対応を検討する」とのコメントを出した。

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