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立法不作為は「違法」、旧優生保護法で初判断 神戸地裁

(更新)

旧優生保護法(1948~96年)下で不妊手術を強いられたのは違憲だとして、兵庫県内の聴覚障害者ら5人が国に計5500万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、神戸地裁は3日、旧法は違憲と判断した。旧法の優生手術に関する条項を、国会議員が96年の法改正まで長期にわたり改廃しなかったことは立法不作為で国家賠償法上違法との初判断も示した。賠償請求はいずれも棄却した。

旧優生保護法下の強制不妊手術を巡る訴訟の判決で「不当判決」と書かれた紙を掲げる原告側弁護士(3日午後、神戸地裁前)=共同

全国9地裁・支部で起こされた同種訴訟のうち、判決は今回で6件目。国への賠償請求はすべて退けられている。違憲判断は仙台、大阪、札幌の3地裁判決に続き4例目となる。原告側は控訴する方針。

判決理由で小池明善裁判長は旧法について、生殖機能を回復不可能にする手術で子どもを産み育てるか否かの意思決定の機会を奪うものだと指摘。「立法目的は極めて非人道的で、個人の尊重を基本原理とする憲法の理念に反する」とし、幸福追求権(憲法13条)や法の下の平等(同14条)、家族に関し個人の尊厳に基づく立法を定めた同24条に違反すると認めた。

その上で、原告らは60年代に行われた不妊手術で著しい身体的、精神的被害を受けたと認められるが、提訴した2018~19年までに損害賠償請求権が消滅する20年の「除斥期間」が経過したとして、損害賠償請求権は消滅したと判断した。

原告側は手術時に不法行為と認識するのは困難で、除斥期間の起算点は不法性が顕在化した18年1月の宮城県の60代女性による仙台地裁への初提訴時だったと主張。しかし判決は「遅くとも96年の法改正時点では不法行為に当たると認識できた」として退けた。

判決などによると、原告はいずれも聴覚障害がある同県明石市に住む小林宝二さん(89)、妻喜美子さん(88)と県内の80代夫婦、脳性まひのある神戸市の鈴木由美さん(65)で自身や配偶者が不妊手術を強いられた。〔共同〕

旧優生保護法 1948年に「優生上の見地から不良な子孫の出生を防止する」ことを目的に議員立法で制定。本人の同意がなくても知的障害や精神疾患、遺伝性疾患などを理由に不妊手術や人工妊娠中絶手術を行うことを認めていた。96年に障害者差別に当たる条文を削除し、母体保護法に改称。国の統計では、不妊手術は約2万5千人に行われ、うち約1万6500人は強制とされる。2018年以降、各地で国家賠償請求訴訟が起こされた。19年4月には一時金320万円を被害者に支給することを定めた法律が議員立法で成立、施行された。〔共同〕

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