大阪、自宅療養者向け往診強化 府と医師会が連携

大阪府の吉村洋文知事と大阪府医師会の茂松茂人会長は2日、府庁内で記者会見し、新型コロナウイルスの自宅療養者への往診体制を強化すると発表した。診療所が中心となって医療機関でチームをつくり、保健所と連携して医師が平日の日中に自宅療養者宅を訪れて治療にあたる。大阪市内から始め、協力する医療機関が増えれば大阪市外にも広げる方針だ。
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大阪府内の自宅療養者は2日時点で1万8000人を超えている。これまで府内では、保健所が地元の医師会や医療機関と連携して自宅療養者の往診にあたる地域もあったが、府内全域で組織的な体制整備を目指す。「第4波」で適切な医療を受けられずに自宅で死亡する患者が相次いだ教訓を踏まえ、早期治療で重症化や死亡を防ぐのが狙いだ。
茂松氏は「自宅療養で孤独状態になっている不安を少しでも払拭し、府民に安心を与えたい」と述べた。
往診では医療機関がチームを組んで対応する。自宅療養者から相談を受けた保健所がとりまとめ役の医療機関に連絡し、チーム内から医師を派遣する仕組みだ。府は支援のため、1医療機関当たり最大で月30万円を支払う。大阪市内では、まず6つの医療機関がチームをつくって近く始める。
医師が自宅療養者に重症化リスクがあると判断すれば、府や保健所と連携し、重症化を防ぐ「抗体カクテル療法」を実施している医療機関に搬送することなどを想定している。
大阪府は、宿泊療養施設の患者向けの診療体制も強化する。
現在、臨時の医療施設に指定して抗体カクテル療法を実施している宿泊療養施設を9月中旬から1カ所増やし、計2カ所とする。この2カ所とは別の宿泊療養施設では、医師や看護師らでつくるチームが7日から同療法の治療にあたる。週に5日程度、1日に5~10人に投与する方針だ。