ダイキン23年3月期営業益18%増に上振れ 米欧がけん引

ダイキン工業は7日、2023年3月期の連結営業利益が前期比18%増の3720億円になりそうだと発表した。2期連続で最高益を見込んだ従来予想からさらに90億円引き上げる。上方修正は今期3回目。環境性能の高い空調機器が堅調な米州や省エネ暖房機器が好調な欧州がけん引し、停滞した中国を補う。想定より為替が円安に推移していることも利益を押し上げる。
売上高は26%増の3兆9100億円と、従来予想を1500億円上方修正する。金利上昇による利払いコストの負担増などを反映するため、純利益は8%増の2350億円を据え置く。

売上高の9割を占める空調事業では米州が堅調だ。利上げで住宅着工戸数が減少する逆風下でも環境性能の高い機種でシェアを拡大している。現地通貨ベースで20%を超える伸びが続き、地域別売上高は4〜12月期で初めて1兆円を超えた。21年から進めている値上げや、継続的に実施してきた卸会社買収による販路拡大も貢献する。
脱ロシア産化石燃料の動きが加速する欧州では、政府の補助金も受けて「ヒートポンプ暖房」が前年比50%程度の伸びが続く。増産が追いついてこなかったが、生産ラインの見直しや部品製造の内製化などで生産拡大を急ぐ。燃焼暖房の代わりにルームエアコンを導入する動きも続く。アジアではコロナ禍で控えられてきた工事が進み、業務用空調機器が堅調だ。需要拡大が続くインドでは住宅用が伸びる。
一方で、中国市場は現地通貨ベースで前期を下回る見通しだ。10〜12月も都市封鎖の影響やゼロコロナ政策転換後の急速な感染拡大で生産や営業活動が制限された。春節(旧正月)後の急回復を見込むが、前年実績に届かない。中国事業の低迷を欧米やアジアなどの販売増で補う格好だ。
為替は想定より円安に推移し、4〜12月期の営業利益を270億円押し上げた。円安効果をのぞいても同期間の営業利益は前年同期比7%増を確保した。1〜3月期も1ドル=125円と、為替は足元の水準より円高に設定している。市場想定平均であるQUICKコンセンサスは1月20日時点で会社想定を上回る3844億円と、さらなる上積みを見込む。
もっとも米国は足元で住宅ローン金利上昇を受けた先行き不透明感から、流通在庫を調整する動きもあり、「需要は少し厳しくなってきた」(幹部)。市場が変調するなか、値上げに加え銅からアルミへの材料転換の加速や生産ラインの自動化なども推し進め、24年3月期の利益率の改善を目指す。
7日発表した22年4〜12月期の売上高は前年同期比30%増の2兆9856億円、純利益は17%増の2089億円だった。