難病医療費の助成前倒し 厚労省が改正法案
厚生労働省は2日までに、国の指定難病患者が医療費の助成を従来より前倒しで受けられるようにする方針を決めた。これまで申請した日から助成を開始していたが、原則1カ月を上限に重症と診断された日にさかのぼる。患者が福祉や就労支援などのサービスをより円滑に受けられるよう「登録者証」(仮称)も発行する。
3日召集の臨時国会に難病医療法や関連する児童福祉法の改正案を提出し、助成の前倒しは2023年10月、登録者証は24年4月の運用開始を目指す。
重症度が一定以上の指定難病や小児慢性特定疾病の患者には国が医療費の一部を助成している。重症化直後の患者は手続きをする余裕がなく、申請が済むまでの期間に治療費がかさむという問題があった。登録者証の導入と合わせ、厚労省の専門委員会が21年に見直しを提案していた。
登録者証は、治療法の研究開発のためにデータ収集を強化する狙いもある。国は難病患者のデータベースを構築しているが、これまで登録の同意を得られたのは医療費助成が受けられる重症者が大半だった。登録者証の取得を促すことで、助成対象外の軽症者を含む幅広い患者に登録してもらい、データの網羅性や精度を向上させ、新薬や治療法の開発に生かす。
患者が病名や重症度などの情報を都道府県や政令指定都市に提出し、登録者証を発行してもらう仕組みを想定。マイナンバーと組み合わせオンラインでの運用を検討している。障害福祉サービスやハローワークなどで就業支援を受ける際に活用してもらう。〔共同〕