水俣病66年「風化させぬ」 熊本、3年ぶり犠牲者慰霊式

四大公害病の一つ水俣病が1日、公式確認から66年を迎えた。新型コロナウイルスの影響で2年連続中止になっていた熊本県水俣市などが主催する犠牲者慰霊式が同市で開かれ、患者団体「水俣病互助会」による慰霊祭も営まれた。参列者らは公害により奪われた命に祈りをささげ「教訓を風化させない」と誓った。
慰霊式は、感染防止のため人数を絞って開催。参列者は防災無線のサイレンに合わせて黙とうし、「水俣病慰霊の碑」の前に花を手向けた。
オンラインで参列した山口壮環境相は「水俣病の拡大を防げなかったことを改めておわび申し上げる」、原因企業チッソの木庭竜一社長が「患者への補償責任の完遂と、地域社会の発展に貢献してまいる」と述べた。
犠牲者の遺品を納めた水俣市内の「乙女塚」で行われた慰霊祭では、約50人が焼香して手を合わせた。胎児性患者の坂本しのぶさんは参列後、認定や救済を巡る裁判が続く現状に「66年たっても解決していないのはおかしい」と憤った。
未認定の7人が熊本、鹿児島両県に認定を求めた訴訟では3月、一審で全面敗訴したばかり。原告団長の佐藤英樹さんも慰霊祭に参列し「国や県は罪を償うべきなのに、幕引きを図ろうとしている」と批判した。
両県などによると、これまでに認定された患者は熊本1791人、鹿児島493人。うち2017人が既に死亡した(4月27日時点)。
今も両県で計1400人以上が認定申請しており、被害者団体らは国に厳しい認定基準を見直すよう求めている。〔共同〕