ネスタリゾートをサムティと刀が買収 5年で100億円投資

不動産中堅のサムティとマーケティング会社の刀(大阪市)は5日、兵庫県三木市のリゾート施設「ネスタリゾート神戸」の経営権を共同取得したと発表した。今後5年間で100億円を投じ、ホテルの改修や施設の拡充などを進める。刀はユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)の経営再建の立役者、森岡毅氏が経営する。地方のテーマパークが生き残る術を確立できるかに注目が集まる。
サムティが6割、刀が4割を出資する新会社を設立し、延田エンタープライズ(大阪市)から経営権を取得した。社員やスタッフなども引き継ぐ。土地や設備なども今後取得する。取得額は非開示。
ネスタリゾート神戸は経営破綻した年金保養施設「グリーンピア三木」の跡地を使い、2016年に開業した。約230万平方メートルの敷地面積を持つレジャー施設は宿泊施設なども備える。
刀は18年にネスタリゾートのマーケティングなどの支援を始め、「大自然の冒険テーマパーク」として打ち出すことでブランディングを再構築。来場者を増やし、新型コロナウイルス禍の影響を受けながらも、20年度には償却前利益で黒字転換した。22年1~3月も過去最高の売上高を達成するなど集客は回復しているものの、減価償却費用が重く、収益拡大につなげる次の設備投資に経営資源を振り分けるのは難しかったとみられる。
新会社は今後5年間で100億円を施設などに投じる方針。「バギーをもっと山の中を走らせる」(森岡氏)など、大自然を生かした施設への投資を計画する。ホテルもサムティのノウハウを生かし、パークと合わせた大自然をイメージさせる宿泊体験ができる施設へと刷新する考え。活用できていない敷地内の土地や周辺の再開発も視野に入れる。
サムティの小川靖展社長は「(現在の)5倍、10倍の利益水準を期待している。償却後で利益を出せる体制を数年で作り上げ、5年後には投資採算が十分合う形にしたい」と話した。
サムティと刀は、ネスタリゾートで確立したノウハウを他地域の施設にも展開する考え。「テーマパークの運営ノウハウを輸出したい」(小川社長)と海外も視野に入れて連携する考えを示した。