ニホンザリガニ取引急増 外来種規制で需要、乱獲懸念

絶滅危惧種のニホンザリガニのインターネットオークション取引が急増していることが、北海道大大学院の田中一典専門研究員らの調査で1日までに分かった。新型コロナウイルス禍に伴う家庭での飼育需要に加え、外来種のアメリカザリガニの取引規制を見越してニホンザリガニに販売をシフトする動きがあるとみられる。
田中さんは「生息場所によっては乱獲による絶滅が懸念される」と指摘。ネット販売の規制や、一部自治体で実績がある条例による捕獲禁止といった対策の拡大を求めている。
調査は2010~21年にオークションサイト「ヤフオク!」で売買された野生のニホンザリガニのデータを収集した。10~17年は売買される個体が年500匹前後だったのが、18年に1569匹に急増した。人気が高まり、一度に出品される個体数が増えたと考えられる。
19、20年はやや減ったものの21年は2401匹と大幅に伸びた。新型コロナの巣ごもり需要や、今後アメリカザリガニが販売禁止となることを見越し、ニホンザリガニの取引を始めた人が相次いだとみられる。
合計落札額は、10年は100万円に満たなかったが20年は約370万円、21年は約757万円と大きく膨らんだ。
環境省によると国内に生息するザリガニは3種類。このうちニホンザリガニは北海道全域や青森、岩手、秋田各県の一部に生息する固有種で、捕獲や販売の制限がない。他の2種類は外来種で、ウチダザリガニは輸入や販売などを禁ずる特定外来生物に既に指定。アメリカザリガニも新たに取引規制が強化される。〔共同〕