小学校教員採用試験の倍率、2.6倍で最低更新、20年度
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都道府県教育委員会などが2020年度に実施した公立小学校の教員採用試験(21年度採用)の競争倍率は、全国平均で前年度より0.1ポイント低い2.6倍となり3年連続で過去最低になったことが31日、文部科学省の調査で分かった。なり手不足が進むことで、教員の質維持が難しくなるとも懸念される。
最も低いのは佐賀県の1.4倍で、2倍を切った自治体は採用試験を一緒に実施した広島県・広島市を1つと数えて計15あった。最高は神戸市の7.3倍だった。
小学校の総採用者は1万6440人。18年度試験までは大量退職に伴う採用者の増加が続いていたが、19年度に続き2年連続の採用減となった。総受験者は4万3448人で新卒者は19年度より80人増えた一方、既卒者は1342人減った。
中学校教員の競争率は19年度比0.7ポイント減の4.4倍となり、バブル景気で民間就職が好調だった1990年度試験に次いで過去2番目の低さとなった。
高校は2019年度より0.5ポイント上昇して6.6倍だった。
文科省担当者は「大量退職に伴う採用者数の増加が倍率低下の大きな理由」と説明。新卒の受験者は増加傾向にあるものの、いったん不合格になって講師などとして働いてきた既卒者が民間企業に回るなどしていることが影響したと分析している。〔共同〕