消防設備の点検、なお5割どまり 報告の煩雑さ影響か - 日本経済新聞
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消防設備の点検、なお5割どまり 報告の煩雑さ影響か

(更新)

火災報知機や消火器、スプリンクラーといった消防用設備に義務付けられた点検報告の実施率が5割程度にとどまっている。本来は火災を防ぐために欠かせない制度だが、周知不足に加え、報告手続きの煩雑さが影響しているとみられる。

簡略化に向けて総務省消防庁が電子申請の拡充を検討しているほか、商機とみて点検報告に特化したサービスを提供する企業も出てきた。

消防法では、学校から飲食店まで広範な公共施設や店舗に消防用設備の点検報告が義務付けられている。これらの施設、店舗は半年に1回は機器点検を実施し、結果について1~3年に1度は地域の消防署に報告しなくてはならない。

消防庁のまとめでは、全体の報告率が2018年3月末で49.8%。00年の40%から上昇しているが、低水準のままだ。数十項目にわたる点検結果の報告は基本的に書類で行われており、小規模が多い点検業者の選定も地域によっては手間がかかるという。

12年5月に広島県福山市のホテルで宿泊客7人が死亡した火災では、自動火災報知設備が一斉作動する仕組みがなく、被害が拡大したとみられている。点検の定期的な実施にはこうした事例を防ぐ効果も期待されており、報告率の向上は喫緊の課題となっている。

4月に東京のマンション地下駐車場の消火設備で二酸化炭素(CO2)が放出され、作業員4人が死亡する事故が発生したが、こうした設備も点検の対象だ。

消防庁は手続きを簡略化するため、メールなどを使った電子化の拡大を検討中。最近になり管理が不十分になりがちな小規模施設向けにスマートフォン用の設備点検アプリの本格運用に乗り出したが、効果は未知数だ。

ここに商機を見いだす企業も出てきた。ベンチャー企業のスマテン(名古屋市)は、多数の店舗を経営する企業を主なターゲットに、消防設備の点検報告を管理できるサービスを始めた。

独自の点検アプリを開発したほか、どの店舗でいつ点検報告が必要なのかを可視化、点検業者に発注もできるようにした。

中古車販売大手「ガリバー」などを展開するIDOMも、全国の約460店舗でスマテンのシステムを導入している。〔共同〕

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